訪問介護の事業所の売上げ構成は、一般的に次の通りです
- 介護報酬=単位数×1単位の単価
- 処遇改善加算=単位数×加算率×1単位の単価
- 特定処遇改善加算=単位数×加算率×1単位の単価
- 特定事業所加算=単位数×加算率×1単位の単価
1.介護報酬の計算
具体例(令和元年10月)
例えば、身体1生活1の訪問介護の1回あたりの売り上げは、単位数は315単位、大阪市の単価は11.12円となりますので、315×11.12=3502.8円となります。
2.処遇改善加算の計算
- 処遇改善加算Ⅰ=13.7%
- 処遇改善加算Ⅱ=10%
具体例
例えば、処遇改善加算Ⅰ(13.7%)の訪問介護の事業所は、介護報酬が100万円の場合は処遇改善加算は13万7000円となります。
なお、処遇改善加算は、すべて介護職員の方に支払う必要がありますので事業所(会社)の利益にすることはできません。
3.特定処遇改善加算の計算
- 特定処遇改善加算Ⅰ=6.3%
- 特定処遇改善加算Ⅱ=4.2%
具体例
例えば、特定処遇改善加算Ⅰ(6.3%)の訪問介護の事業所は、介護報酬が100万円の場合は特定処遇改善加算は6万3000円となります。
なお、処遇改善加算は、すべて職員の方に支払う必要がありますので事業所(会社)の利益にすることはできません。
4.特定事業所加算の計算
- 特定事業所加算Ⅰ=20%
- 特定事業所加算Ⅱ=10%
具体例
例えば、特定事業所加算Ⅰ(20%)の訪問介護の事業所は、介護報酬が100万円の場合は特定事業所加算は20万円となります。
特定事業所加算は、職員の方に支払う必要はありませんが、定期的に会議をしたり、介護職員の方に対して個別の研修を行ったりする必要がありますので、そのための時間や費用がかかると考えるといいでしょう。
訪問介護の事業所の売上げのイメージ
具体例(介護報酬100万円、処遇改善加算Ⅰ・特定処遇改善加算Ⅰ・特定事業所加算Ⅰの場合)
- 介護報酬100万円
- 処遇改善加算Ⅰ=13万7000円
- 特定処遇改善加算Ⅰ=6万3000円
- 特定事業所加算Ⅰ=20万円
売上げ合計=140万円
介護報酬100万円を基礎的な支出にあてることにあわせて、(特定)処遇改善加算20万円は介護職員の方の給料アップに活用し、特定事業所加算20万円は介護職員の方のスキルアップなどに活用することになります。
訪問介護の事業所の平均的な売上げは…
訪問介護の事業所の1か月あたりの平均的な収支(厚生労働省による平成29年度実態調査)は次の通りです。
売上げ | 225万円 |
人件費 | 170万円 |
その他の経費 | 45万円 |
(会社の)利益 | 10万円 |
上記の調査を考慮すると、中長期的には訪問介護の事業所の売上げ目標として200〜250万円を目指したいところです。
なお、人件費には管理者など経営者の報酬も含まれていると考えていいでしょう。
訪問介護の売上げをアップするには…
- 利用者の増加
- 加算の申請
1.利用者の増加
訪問介護の事業所の売上げをアップするためには、単純に、ご利用者さんを増やすということになります。
訪問介護の事業所はどのような経緯でご利用者さんをご紹介いただいているのか、売上げアップの方法はそこにあります。
そのためには、どうすればいいのか…ということです。
2.加算の申請
例えば、特定事業所加算を取得することによって、売上げは10%又は20%アップします。
ただ、特定事業所加算を取得するためには、定期的に会議をしたり、介護職員の方に対して個別の研修を行ったりする必要があるなど事業所運営の負担が増えますので、ある程度の売上げがあることが前提だと考えていいでしょう。
逆に考えると、ある程度の売上げがある場合で、特定事業所加算を取得していない場合には、取得することを考えてみてもいいとは思われます。
この記事を書いたのは…
行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
大阪市中央区備後町1丁目4番16号
備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士)
大阪で訪問介護やデイサービスなどの開業支援や経営支援をしている行政書士.社会保険労務士であり、大阪市にある訪問介護の事業所の役員もしています。
訪問介護やデイサービスなどの開業や経営についてお困りのことがありましたらぜひお問い合わせください。