労働分配率と労働生産性の計算式を使って生産性を分析しよう

労働分配率を計算して分析してみよう

労働分配率とは…

労働分配率とは、その会社が生み出した付加価値(≒限界利益(粗利益))に占める人件費の割合を表します。

労働分配率の計算式
労働分配率(%)=人件費/付加価値(≒限界利益(粗利益))×100

労働分配率の計算式は、分子が人件費、分母が付加価値(≒限界利益(粗利益))ですので、この数値(%)が小さいほうが生産性が高いということが言えます。

なお、業種によって事業構造が異なりますので、同業他社の労働分配率と比較をしてみるといいでしょう。

実際に労働分配率を計算してみましょう

損益計算書
売上高 250,000
売上原価
 期首商品棚卸高 50,000
 当期商品仕入高 150,000
  合計 200,000
 期末商品棚卸高 25,000 175,000
  売上総利益 75,000
販売費及び一般管理費
 給料 15,000
 支払家賃 5,000
 旅費交通費 2,500
 減価償却費 2,500 25,000
  営業利益 50,000
なお、付加価値=限界利益(変動費は売上原価のみ)、社員の人数は前期末5名・当期末6名として計算させていただきます。

労働分配率の計算式は、労働分配率(%)=人件費/付加価値(または限界利益(粗利益))×100ですので…

労働分配率(%)=15,000/75,000×100=20

上記の損益計算書では、労働分配率の計算結果が20%となります。

労働分配率の目安や平均はそれぞれの業種によって異なりますので、同じ業種の平均などを目安にして比較をしたり、その会社の過去3年間の労働分配率と比較したりするといいでしょう。

労働分配率の数値を改善するにはどうすればいい?

上記の通り、労働分配率の計算式は、分子が人件費、分母が付加価値(≒限界利益(粗利益))ですので…

労働分配率を改善する(下げる)ための方法
  • 分子の人件費を小さくする
  • 分母の付加価値(≒限界利益(粗利益))を大きくする

労働生産性を計算して分析してみよう

労働生産性とは…

労働生産性とは、社員1人あたりの付加価値(≒限界利益(粗利益))を表します。

労働生産性の計算式
労働生産性(円/人)=付加価値(≒限界利益(粗利益))/社員の平均人数
※社員の平均人数は期首と期末の平均人数

労働生産性の計算式は、分子が付加価値(≒限界利益(粗利益))、分母が社員の平均人数ですので、この数値が大きいほうが、生産性が高いということが言えます。

業種によって事業構造が異なりますので、同業他社の労働生産性と比較をしてみるといいでしょう。

実際に労働生産性を計算してみましょう

上記の損益計算書を使って計算していきます。

労働生産性の計算式は、労働生産性(円/人)=付加価値(≒限界利益(粗利益))/社員の平均人数ですので…

労働生産性(円/人)=75,000/((5+6)÷2)=13636.36

上記の損益計算書では、労働生産性の計算結果が13636.36(円/人)となります。

労働生産性の目安や平均はそれぞれの業種によって異なりますので、同じ業種の平均などを目安にして比較をしたり、その会社の過去3年間の生産性と比較したりするといいでしょう。

労働生産性の数値を改善するにはどうすればいい?

上記の通り、労働生産性の計算式は、分子が付加価値(≒限界利益(粗利益))、分母が社員の平均人数ですので…

労働生産性を改善する(上げる)ための方法
  • 分子の付加価値(≒限界利益(粗利益))を大きくする
  • 分母の社員の平均人数を小さくする

なお、付加価値(≒限界利益(粗利益))を大きくするためには、売上高を増やすことだけでなく、売上単価や原価率の引き下げによる限界利益率の向上が必要です。

端数の金額を切り捨てたり安易な値引きをしたりすることによって、売上単価が下がってしまい、売上高に対する原価率の向上、そして、限界利益率(粗利益率)の低下につながってしまいますので、もしこのようなことをしている社員がいる場合には少しずつ改善をしていくようにしていきましょう。

なお、社員の平均人数を小さくすることについては、社員の人数を減らすことによって社員の方のモチベーションに関係する重要かつデリケートな問題ですので慎重に検討する必要があるでしょう。

売り上げが増加傾向になる会社の場合には社員の人数を減らすことが非常に難しいですので、付加価値(≒限界利益(粗利益))をいかにして上げていくのかについての対策の検討と実施が重要となります。

[まとめ]労働分配率や労働生産性を改善するためには…

会社全体として、売上高と限界利益率(粗利益率)アップを目指す組織に変えていく

付加価値(≒限界利益(粗利益))を大きくするためには、売上高を増やすことだけでなく、売上単価引き上げや原価率の引き下げによる限界利益(粗利益)の向上が必要です。

なお、人件費を下げたり社員の人数を減らしたりすることは社員の方のモチベーションに関係する重要かつデリケートな問題ですので慎重に検討する必要があるでしょう。

つまり、労働分配率の数値を改善するには、今の従業員の方のスキルアップや業務の効率化によって、人件費の増加よりも、売上高と付加価値(≒限界利益(粗利益))を増加させるような施策が必要であるということです。

経営者としては、今よりも売上高と限界利益(粗利益)が増えるように、事務専属部門の効率化やアウトソーシングによって、その社員の方に、営業サポートをしてもらったり、営業担当の社員のスキルアップなどを行って、会社全体として、売上高と限界利益(粗利益)アップを目指す組織に変えていく必要があるでしょう。

売上高の把握だけでなく各利益や各利益率なども合わせてしっかり把握する

売上高は経営者にとって非常にわかりやすい指標のひとつですが、売上高を重視して会社の業績を把握していては予想外の結果になってしまうこともありますので、売上高にこだわりすぎず各利益や各利益率なども合わせて把握することが大切です。

いくつか営業所や部門がある場合には、各責任者の方に各利益や各利益率もしっかり把握して報告してもらうことによって、各利益や各利益率の重要性を認識してもらうことができるはずです。

これらを繰り返していくうちに各社員の方にも、端数の金額を切り捨てたり安易な値引きをしたりしないという認識が定着していくことを期待することができます。

経営者だけが意識しているだけでは会社は変わりにくいですので、社員全体として共通の認識を持って改善に取り組んでいく仕組みのようなものが必要だということができるでしょう。