損益分岐点売上高の計算式を使って収益性や安全性を分析しよう

損益分岐点

売上高の安全性を分析するために、まずは損益分岐点売上高を計算してみよう

損益分岐点売上高とは…

損益分岐点売上高とは、利益も損失も発生しない売上高のことをいいます。

損益分岐点売上高の計算式
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率
※固定費=固定費-営業外収益+営業外費用

損益分岐点売上高の計算方法

上記の計算式の通り、損益分岐点売上高の計算をするには、固定費と限界利益率が必要ですので…

損益分岐点売上高計算の流れ
  1. 費用を変動費と固定費にわけます(変動費は材料費や外注費などが該当します)
  2. 売上高と変動費から変動費率を計算します(変動費率=変動費/売上高)
  3. 売上高を1として変動費率を差し引いて限界利益率を計算します(限界利益率=1-変動比率)
  4. 損益分岐点売上高の計算式に数字を入れて計算します(損益分岐点売上高=固定費/限界利益率)

少しややこしいですが、順番に計算していけばそれほど難しいものではありません。

実際に損益分岐点売上高を計算してみましょう

損益計算書
x1年4月1日~x2年3月31日(単位:千円)
売上高250,000
売上原価
 期首商品棚卸高50,000
 当期商品仕入高150,000
  合計200,000
 期末商品棚卸高25,000175,000
  売上総利益75,000
販売費及び一般管理費
 給料22,500
 支払家賃10,000
 旅費交通費7,500
 減価償却費5,00045,000
  営業利益30,000
営業外収益
 受取利息・配当金2,5002,500
営業外費用
 支払利息7,5007,500
  経常利益25,000

上記の貸借対照表を使って計算していきますが、計算を単純化してわかりやすくするために、変動費は売上原価だけとして、それ以外は固定費ということにさせていただきます。

損益分岐点売上高計算の流れ
  1. まず費用を変動費と固定費にわけましょう
  2. 変動費(=売上原価)は175,000、固定費は50,000

  3. 売上高と変動費から変動費率を計算しましょう
  4. 変動費率=変動費/売上高ですので、変動比率=175,000/250,000=0.7

  5. 売上高を1として変動費率を差し引いて限界利益率を計算しましょう
  6. 限界利益率=1-変動比率ですので、限界利益率=1-0.7=0.3

  7. 損益分岐点売上高の計算式に数字を入れて計算しましょう
  8. 損益分岐点売上高=固定費/限界利益率ですので、50,000/0.3=166,666

上記の損益計算書では、損益分岐点売上高は166,666となります。

損益分岐点比率を計算して売上高の安全性を分析してみよう

損益分岐点比率とは…

損益分岐点比率とは、損益分岐点売上高と実際の売上高を比較して、その会社の売上高や収益面での安全性を表します。

損益分岐点比率の計算式
損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高/実際売上高×100

損益分岐点比率の計算結果の見方

損益分岐点比率の計算式は、損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高/実際売上高×100であり、分母が実際売上高、分子が損益分岐点売上高(利益も損失も発生しない売上高)ですので、損益分岐点比率の数値(%)が小さいほうが、売上高や収益面での安全性が高い、または、売上高の減少に対するリスクに強いということが言えます。

損益分岐点比率の計算結果の簡単な見方
  • 損益分岐点比率(%)<100%
  • ⇒損益分岐点比率が100%未満の場合には、実際の売上高が損益分岐点売上高を超えていることを表しますので、売上高の減少に対するリスクに強い状態であると言えます。

  • 損益分岐点比率(%)=100%
  • ⇒損益分岐点比率が100%の場合には、利益も損失も発生していない状態であり、この売上高を下回ると赤字に陥るギリギリの状態であると言えるでしょう。

  • 損益分岐点比率(%)>100%
  • ⇒損益分岐点比率が100%を超えている場合には、すでに赤字の状態であり、この経営状態が続くと非常に危険であると考えられます。

実際に損益分岐点比率を計算してみましょう

上記の損益計算書と損益分岐点売上高の計算結果を使って、損益分岐点比率を計算していきます。

損益分岐点比率の計算式は、損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高/実際売上高×100ですので…

損益分岐点比率(%)=333,333/250,000×100=66.66%

上記の損益計算書では、損益分岐点比率の計算結果が66.7%となり、損益分岐点比率<100%となっていますので、売上高の減少に対するリスクが強いということができます。

損益分岐点比率を改善する方法を考えてみよう

まず、損益分岐点比率の計算式は、損益分岐点比率(%)=損益分岐点売上高/実際売上高×100ですので、損益分岐点比率を改善するためには…

  • 分子の損益分岐点売上高を小さくする
  • 分母の実際の売上高を大きくする
ことが必要です。

そして、損益分岐点売上高の計算式は、損益分岐点売上高=固定費/限界利益率ですので、損益分岐点売上高を小さくするためには…

  • 分母の限界利益率を大きくする(変動費率を小さくする)
  • 分子の固定費を小さくする
ことが必要です。

つまり、損益分岐点比率を改善するには…

損益分岐点比率を改善するための方法
  • 変動費率を下げて限界利益率を上げる
  • 固定費を減らす

なお、変動費率を下げる(限界利益率を上げる)ためには、利益率の高い商品の比率を増やしたりして、売上単価を上げる必要があります。

また、固定費を減らすためには、経常的に計上される無駄な費用を見直していくことと、経常利益ベースでは営業外費用(支払利息など)を削減することが必要です。


この記事を書いたのは…

行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
大阪市中央区備後町1丁目4番16号
備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士)

大阪で訪問介護やデイサービスなどの開業支援や経営支援をしている行政書士.社会保険労務士であり、大阪市にある訪問介護の事業所の役員もしています。

訪問介護やデイサービスなどの開業や経営についてお困りのことがありましたらぜひお問い合わせください。

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