金融機関から「資金繰り表を作成して提出してください」と言われたら

そもそも資金繰り表とはどんなものなのか?

資金繰り表とは、現金預金の収入と支出を把握し、資金調達や金融支援が必要となるタイミングや必要量を把握するために作成ものであり、社内での経営改善策や資金繰り改善策の検討や、金融機関などへの説明のために活用するものです。

今までの実績と今後の予想の資金繰りを記載します。

月次資金繰り表のサンプル

項目4月
(実績)
5月
(実績)
6月
(実績)
7月
(予想)
8月
(予想)
9月
(予想)
前期繰越金額(A)○○○○○○○○○○○○○○○○○○
現金売上○○○○○○○○○○○○○○○○○○
売掛金回収○○○○○○○○○○○○○○○○○○
手形入金○○○○○○○○○○○○○○○○○○
経常収入合計(B)○○○○○○○○○○○○○○○○○○
現金仕入○○○○○○○○○○○○○○○○○○
買掛金支払○○○○○○○○○○○○○○○○○○
人件費支払○○○○○○○○○○○○○○○○○○
諸経費支払○○○○○○○○○○○○○○○○○○
利息支払○○○○○○○○○○○○○○○○○○
税金支払○○○○○○○○○○○○○○○○○○
経常支出合計(C)○○○○○○○○○○○○○○○○○○
経常収支(D)=B―C○○○○○○○○○○○○○○○○○○
借入金入金○○○○○○○○○○○○○○○○○○
借入金返済○○○○○○○○○○○○○○○○○○
財務収支合計(E)○○○○○○○○○○○○○○○○○○
固定資産購入○○○○○○○○○○○○○○○○○○
固定資産売却○○○○○○○○○○○○○○○○○○
その他収合計支(F)○○○○○○○○○○○○○○○○○○
当月収支(G)=D+E+F○○○○○○○○○○○○○○○○○○
翌月繰越金額A+G○○○○○○○○○○○○○○○○○○
資金繰り表を作成するために必要となる資料
  • 月次試算表
  • 現金預金の総勘定元帳(または、現金出納帳、預金通帳)
  • 受取手形帳、支払手形帳
  • 借入金返済明細

など

月次資金繰り表の作り方(経常収入)

売上高を予想する

売上高の予想をすることは最も難しい作業のひとつではありますが、最も重要ですので、あいまいな予想ではなく、根拠のある予想をしていくことが非常に重要です。

月次の売上を予想するためのポイント
  • 季節によって売り上げの変動がある場合には1年を通しての会社の売上の傾向を把握する
  • 過去の同月の売上高を参考にする
  • 営業担当者からのヒアリングによって、取引先との関係や取引先の業績など、今後の売上の見通しを把握し、予想に反映させる

売上代金の回収方法や回収条件を把握する

すべての売上を即時に現金で回収できるわけではなく、売上をしたとしても、売上代金を回収することができて、はじめて手元の現金や預金となりますので、売上代金の回収方法や回収条件を把握することは非常に重要です。

つまり、「売上」と「手元に資金が入ってくる」というのはイコールにならないということをしっかり認識して、資金繰りを管理することが重要です。

損益計算書と資金繰り表の違いはこういうところにあるということもできるでしょう。

売上代金の回収方法や回収条件を把握するためのポイント
  • 取引先によって代金回収のサイトが異なりますので、主な取引先の売上代金の回収方法や回収条件をしっかり把握する
  • 現在の売掛金や受取手形を回収できる時期と金額を把握する
  • 過去の実績から回収方法の割合を把握し、予想に反映させる
  • 担当者からのヒアリングによって、今後の見通しを把握し、予想に反映させる

売上(経常収入)に関する月次資金繰り表の作り方(例題)

売上高の実績と予想

項目4月
(実績)
5月
(実績)
6月
(実績)
7月
(予想)
8月
(予想)
9月
(予想)
売上高2,0001,5003,0002,0002,5002,000

売上代金の回収方法や回収条件

  • 売上は、現金売上が30%、残りの70%を売掛金で回収する
  • 売掛金は、月末締め翌月末入金であり、50%を60日サイトの受取手形で回収する

月次資金繰り表

項目4月
(実績)
5月
(実績)
6月
(実績)
7月
(予想)
8月
(予想)
9月
(予想)
現金売上○○○○○○○○○600750600
売掛金回収○○○○○○○○○1,050700875
手形入金○○○○○○○○○7005251,050
経常収入合計(B)○○○○○○○○○2,3501,9752,525
上記のとおり、同じ月でも「予想売上高」と」予想資金繰り」の数値は異なります。

特に、売掛金の比率が高いビジネスの場合には、資金繰りは前月以前の売上高や売掛金の比率に影響を受けるということがいえるでしょう。

なお、上記の資金繰りの作り方は、単純化したものです。

実際には、取引先ごとに条件が異なりますので、資金繰り表を作成する場合には、できる限り実態を反映した予想をすることが非常に重要です。

つまり、主な取引先ごとに、売上高と売上債権の把握を行い、それに基づいて、売上高を予想し、売上債権の回収条件を当てはめて、資金繰り表を作成するということになるかもしれません。

月次資金繰り表の作り方(経常支出)

売上原価とその他の変動費を予想する

売上原価とその他の変動費は、売上高に連動しますので、過去の売上原価率や変動費率などを参考にして予想します。

売上原価とその他の変動費を予想するためのポイント
  • 過去の売上原価率やその他の変動費率を計算する
  • 過去の売上原価率やその他の変動費率の変化や推移を把握する
  • 直近の仕入原価を把握し、予想に反映させる
  • 担当者からのヒアリングによって、今後の見通しを把握し、予想に反映させる

原材料費や商品代金の支払方法や支払条件を把握する

原材料費や商品を仕入れる場合には、売上の場合とほぼ同じで、多くの場合は、即時に現金で支払うのではなく、1度、買掛金や支払手形になった後に実際に支払うということになります。

損益計算書では、売上原価として計上されて、当期の利益に影響しますが、現金預金から考えると、原材料費や商品を仕入れとしても必ずしも現金預金が出ていっているわけではないということが言えます。

このことも売上の場合とほぼ同じ考え方です。

原材料費や商品の支払方法や支払条件を把握するためのポイント
  • 仕入先によって代金支払のサイトが異なりますので、主な仕入先の仕入代金の支払方法や支払条件をしっかり把握する
  • 現在の買掛金や支払手形の支払時期と金額を把握する
  • 過去の実績から支払方法や条件の割合を把握し、予想に反映させる
  • 担当者からのヒアリングによって、今後の見通しを把握し、予想に反映させる

人件費や支払家賃など諸経費を予想する

人件費や支払家賃など諸経費は、固定費となるものが多いですが、賞与の支払いがある月はしっかり計画に反映させることが重要です。

人件費や支払家賃など諸経費を予想するためのポイント
  • 人件費や支払家賃など諸経費は固定費となるものが多い
  • 人件費や支払家賃など諸経費の変化や推移を把握する
  • 賞与の支払いがある月はしっかり計画に計上する
  • 担当者からのヒアリングによって、今後の見通しを把握し、予想に反映させる

年払いの保険料や各種税金の支払いなどを把握する

年払いの保険料や各種税金の支払いなど、1年に1回または数回の支払がある資金の支出をしっかり把握しておかなければ、予想に反して、資金繰りが悪化してしまうということになってしまいます。

年払いの保険料や各種税金の支払を把握するためのポイント
  • 過去の同月の支払を参考にしてその月に発生する支払いをピックアップする
  • 担当者や顧問税理士からのヒアリングによって、今後の見通しを把握し、予想に反映させる

資金繰り悪化の原因と改善策

売上高の低下

資金繰り悪化の根本的な原因のひとつとして、過年度や予想と比べ、売り上げが低下していることや、収益力が低下していることがあげられます。

売上というのは、外部環境の影響を受けやすい項目ではありますが、計画や計算もしていない安易な値引きや割引をしているなど、社内で改善ができる問題があるケースもあるかもしれません。

もちろん、そうしなければ売れないということもあるかもしれませんが、割引率を下げたり、売り方を工夫したりするなど、売上高を1%でも改善できるように社内で課題を共有することが重要です。

また、新規開拓を進めるなど、社内での課題の共有や意識付けを行うことが重要です。

収益性の悪化

資金繰り悪化の根本的な原因のひとつとして、売上高の低下とともにあげられるのが、仕入原価や販管費増加などの支出に関連する収益性の低下です。

仕入原価についても外部環境の影響を受けやすいということは言えますが、例えば製造業などであれば、歩留まり率を改善するなど、社内で工夫できることができるはずですし、人件費についても、社内でアイデアを出し合って業務の効率化を進めるなど、残業代を削減するための工夫をすることもできるでしょう。

その他の諸経費についても、社内での意識付けを行うことによって改善ができる項目です。

売上債権管理

売上をしても、そのすべてが現金や預金としてすぐに入金されるわけではなく、売掛金になったり、受取手形になったりすることがありますので、売り上げが計上される月と実際に入金される月が異なることがあります。

しかも、実際の入金が売上の2か月後や3か月後ということもありますので、売上を管理すると同時に、売上債権をしっかり管理することが重要です。

また、売上債権をすべて回収できるというわけではなく、長期間滞留してしまっていたり、その結果、貸倒れになってしまうこともあります。

いくら売上をしても、実際に回収できなければあまり意味がありませんので、売上債権を徹底して、早期回収と回収率の改善を社内で徹底していくように意識付けから始めていくようにしなければいけません。

在庫管理

売上をした場合の売上代金の回収方法や回収条件と、原材料費や商品を仕入れた場合の仕入代金の支払方法や支払条件の把握は非常に重要です。

例えば、一般消費者の方に商品を販売している場合には、売上のほとんどを現金で受け取り、商品仕入れは、仕入れた月以降の支払になることが多いと言えますので、その商品についてのお金の流れで考えると、先に売上によって現金化をして、その後に商品代金を支払うということになりますので、資金繰りの面で考えると、資金繰りがしやすいということが言えるかもしれません。

商品の在庫管理ができていない場合には、余剰在庫を抱えてしまい、商品を現金化するよりも商品代金を支払うほうが先になってしまうこともありえますし、在庫が陳腐化してしまい、商品価値がなくなってしまうということもありますので、こういうビジネスの場合には、商品仕入れや在庫管理を徹底することが非常に重要となると考えることができるでしょう。

在庫管理を徹底しなければ資金繰りが悪化するということを社内で課題の共有や意識付けを行うことが非常に重要です。