このページをご覧いただいているのは、介護福祉士又は実務者研修過程修了者であり、今後、会社設立を設立される方であることを想定して記載させていただきます。
訪問介護を開業(指定申請)するためには「法人」である必要があります
訪問介護を開業するには、いわゆる個人事業ではなく、法人(株式会社や合同会社など)である必要がありますので、これから新規にビジネスを始める場合には、株式会社や合同会社などを設立することになります。
なお、会社の定款の事業目的として、訪問介護などに関する記載が必要となります。
訪問介護を開業するためには次の3つの職種の「人員基準」をクリアする必要があります
1.管理者
これから訪問介護を開業される場合には、会社の代表者が管理者になること多いと思います。
なお、管理者はサービス提供責任者との兼務が可能ですので、会社の代表者が管理者とサービス提供責任者を兼務されることが多いと思います。
つまり、会社の代表者であるあなたが管理者とサービス提供責任者を兼務することになると思われます。
2.サービス提供責任者
| 資格要件 | 人員基準 |
サービス提供責任者 | 介護福祉士、介護職員実務者研修課程修了者、看護師、准看護師、保健師など | 常勤1人以上 |
訪問介護事業所のサービス提供責任者は、ご利用者さん40人までは1人、ご利用者さんが40人を超えると2人必要となります。
これから訪問介護を開業する場合には、サービス提供責任者はあなた1人でいいでしょう。
売上げが上がってきた段階で、新たにサービス提供責任者を雇用することをお考えいただくことでまったく問題ありません。
3.訪問介護員(登録ヘルパー)
| 資格要件 | 人員基準 |
訪問介護員 (登録ヘルパー) | 介護職員初任者研修など | 常勤換算方法で2.5人以上(サービス提供責任者含む。) |
常勤換算2.5人には、管理者兼サービス提供責任者であるあなたも1.0人として計算することができますので、あなた以外に訪問介護員(登録ヘルパーさん)が1.5人いればいいということです。
例えば、こんなカンジで訪問介護を開業することができます
職種 | 勤務形態 | 勤務時間 | 常勤換算 |
管理者兼サービス提供責任者(あなた) | 常勤 | 週40時間 | 1.0 |
訪問介護員(山田さん) | 常勤 | 週40時間 | 1.0 |
登録ヘルパー(田中さん) | 非常勤 | 週20時間 | 0.5 |
これはかなりシンプルなパターンの例ですが、訪問介護の資格を持っている人が3人集まれば開業することができます。
もちろん、常勤の訪問介護員を雇用しないで、登録ヘルパーさんだけで常勤1.5人以上になれば問題ありません。
訪問介護を開業するためには「事業所の要件」をクリアする必要があります
1.事務室
事務室には、デスクと鍵付き書庫が必要です。
なお、介護保険のサービス(訪問介護)と障害福祉のサービス(居宅介護・重度訪問介護)を一体的に行う場合には、原則としてデスクと鍵付き書庫が2セット必要となります。
2.相談室
相談室は、パーテーションなどを設置して、相談の内容が漏えいしないよう配慮する必要があります。
3.手洗器
感染症予防のために手指を洗浄するための手洗器(洗面所・流しなど)が必要です。
なお、消毒用の石鹸とペーパータオルが必要となります。
4.その他
パソコン、プリンターと介護ソフトなどが必要です。
また、ヘルパーさんやご利用者さんの情報などを整理しておくためのファイルなどが必要となります。
訪問介護を開業するためには「お金」も必要です
1.開業資金
訪問介護を開業するために必要な資金をピックアップしてみました。
あえて金額を空欄にさせていただいていますので、それぞれ金額をお考えいただければと思います。
会社設立費用 | 合同会社(6万円)又は株式会社(20万円) |
事務所の保証金 仲介手数料など | 円 |
デスク・鍵付き書庫など | 円 |
パソコン・プリンターなど | 円 |
その他 | 円 |
2.運転資金
訪問介護の介護報酬はサービス提供月の2か月後に国保連から振り込まれますので、3か月分くらいの運転資金が必要となると考えるといいでしょう。
あえて金額を空欄にさせていただいていますので、それぞれ金額をお考えいただければと思います。
事務所の家賃 | 円 |
人件費 (あなたとヘルパーさん) | 円 |
通信費・水道光熱費など | 円 |
その他の諸経費 | 円 |
自己資金では足りない場合には日本政策金融公庫に融資を申し込むことも検討してみましょう
訪問介護は、デイサービスなどに比べて、初期投資は比較的少なくても開業をすることができますが、介護報酬などが支払われるのは約2か月後になりますので、事務所の家賃や人件費など多額の運転資金を確保しておく必要があります。
また、計画通りに売上げが上がらない可能性も想定しておく必要がありますので、自己資金で初期投資をまかなえる場合でも、一部は融資を受けておき、自己資金に余裕を持たせた経営をなさるほうがいいでしょう。
ヘルパーさんの時給をアップするために「(特定)処遇改善加算」の申請が必要です
1.処遇改善加算
処遇改善加算は、原則として、全額をヘルパーさんに支払うことになっていますので、事業所の利益にはならないものではありますが、ヘルパーさんの時給をアップすることによってヘルパーさんの確保に役立てることができる非常に重要度の高い加算だといえます。
介護保険に関する処遇改善加算の加算率
| 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ |
訪問介護 | 13.7% | 10.0% | 5.5% |
障害福祉に関する処遇改善加算の加算率
| 加算Ⅰ | 加算Ⅱ | 加算Ⅲ |
居宅介護 | 30.3% | 22.1% | 12.3% |
重度訪問介護 | 19.2% | 14.0% | 7.8% |
2.特定処遇改善加算
特定処遇改善加算は、少し運用が難しいところがありますが、小規模の事業所などの場合には特定処遇改善加算とほぼ同じような運用をすることも可能です。
介護保険に関する処遇改善加算の加算率
障害福祉に関する処遇改善加算の加算率
| 特定加算Ⅰ | 特定加算Ⅱ |
居宅介護 | 7.4% | 5.8% |
重度訪問介護 | 4.5% | 3.6% |
この記事を書いたのは…
行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
大阪市中央区備後町1丁目4番16号
備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士)
大阪で訪問介護やデイサービスなどの開業支援や経営支援をしている行政書士.社会保険労務士であり、大阪市にある訪問介護の事業所の役員もしています。
訪問介護やデイサービスなどの開業や経営についてお困りのことがありましたらぜひお問い合わせください。
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