経営者必見!初めて従業員を雇用する際の社会保険の手続きと給与明細作成と助成金

従業員を雇用する場合にはさまざまな手続きが必要となります

このページでは、初めて従業員を雇用する場合に、経営者として知っておくべき必要な手続きについて記載させていただきます。

それぞれ労働に関する法律に定められていることではありますが、個人事業主の方や小規模事業者の方の場合にはなかなか整備できていないのが実情だと思われます。

初めて従業員の方を雇う際にしっかり整備しておけば、その後の運用がスムーズになりますので、ぜひ最初から従業員の雇用の手続きを整備していただきますようお願いいたします。

パートやアルバイトの方の雇用保険・厚生年金・健康保険の基礎知識についてはこちらをご覧ください

労働条件の明示と雇用契約の締結

従業員を雇用する際に労働条件を明示しなければいけません

経営者は、従業員を雇用する際には、正社員だけでなく、パートやアルバイトの従業員に対しても労働条件を明示しなければいけません。

労働条件の明示には、書面によって明示しなければいけない事項と口頭での明示でもよい事項がありますが、後々のトラブルを防ぐために、口頭での明示でもよい事項についても書面での明示をしておくことをおすすめいたします。

また、パートやアルバイトの従業員を雇用する場合には、労働基準法の労働条件の明示に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」、「賞与の有無」の3つの事項を文書の交付などによって明示しなければいけません。

なお、助成金の支給を受けるためには、従業員の雇用条件等を確認するために、雇用契約書や労働条件通知書を添付しなければいけない場合が多いですので、そういう意味でも非常に重要な書面のひとつといえるでしょう。

労働条件の明示事項や雇用契約書の作成についてはこちらをご覧ください

労働者名簿・賃金台帳・出勤簿の作成

従業員を雇用する場合には、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿を作成しなければいけません

従業員を雇用する場合には、給料を支払う必要がありますので、その前提として、出勤簿や賃金台帳などをつける必要があるだろうと思われます。

注意
労働基準法でも、従業員を雇用する場合には、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿を作成しなければいけないと定められています。

また、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿にはそれぞれ記載事項や保存期間も決められています。

なお、助成金の支給を受けるためには、従業員の勤務状況等を確認するために、賃金台帳や出勤簿を添付しなければいけない場合が多いですので、そういう意味でも非常に重要な書面のひとつといえるでしょう。

労働者名簿・賃金台帳・出勤簿についてはこちらをご覧ください

労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き

従業員の方を1人でも雇う場合には労災保険や雇用保険に加入しなければいけません

従業員の方を雇用する場合に、経営者として注意しなければいけないことのひとつに、労災問題としての仕事中のケガや通勤途中でのケガの問題があります。

通勤途中の事故であっても経営者の責任が発生してしまいます。

また、雇用保険は、失業した場合やその他の給付の制度がありますので、未加入の場合には、自退職した元従業員との間でトラブルに発展する可能性があると言えるでしょう。

注意
従業員の方が勤務中や通勤途中にケガをした場合には、非常に大きな金銭問題に発展する可能性がありますので、正社員やパートなどに関係なく、従業員の方を1人でも雇う場合には必ず労災保険に加入しなければならないことになっています。

また、雇用保険についても、雇用保険には加入要件がありますが、加入要件に該当している場合には、正社員、パートやアルバイトに関係なく加入しなければいけません。

また、助成金を受ける場合にも、ほとんどのケースで雇用保険に加入していることが要件となります。

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の手続き

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)には加入要件があります

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)も原則としてすべての従業員に適用されることになりますが、従業員の人数が常時5人未満の個人事業主の場合や、法人の場合でもパートやアルバイトの方などは加入しなくてもいい従業員もいます。

36協定の締結と届出

残業や休日出勤をしてもらうためには36協定の締結と労働基準監督署長への届出が必要です

労働基準法では、原則として、法定労働時間(1週40時間または1日8時間)を超える労働や法定休日(毎週1回または4週間に4日)の労働をすることができません。

つまり、原則として、残業や休日出勤ができないことになっています。

しかし、例外として、経営者と労働者の過半数を代表する者(労働者の過半数で組織する労働組合)との間で36協定を締結して労働基準監督署長へ届出をすることによって、残業や休日出勤をしてもらうことができるようになります。

注意
36協定を締結して労働基準監督署長へ届出をしていない場合に、残業や休日出勤をしてもらうことは労働基準法違反になってしまいます。

中小企業の経営者の方の中には、このことをご存知ではない方も多いですのでご注意くださいますようお願いいたします。

36協定の締結や届出についてはこちらをご覧ください

従業員を雇用する際のおすすめ助成金

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)

高齢者(60歳以上65歳未満)の方や母子家庭の母などを継続して雇用する場合に、事業主に対して、助成金として40万円が支給されます。

特定求職者雇用開発助成金についてはこちらをご覧ください

キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金

パートやアルバイトの方などの研修や正社員化などをした場合に事業主に対して支給される助成金です。

どの会社でも新たに雇ったパートやアルバイトの方に仕事の内容を覚えてもらったりスキルアップをしたもらったりすることは必ず必要となりますが、その内容を体系化して研修を実施することによって、助成金をもらいながら充実した研修を行うことができますので、経営者としてメリットが高いと助成金と言えるでしょう。

従業員の方から提出してもらうもの

従業員を雇用する際には、各種手続きに必要なものや誓約書などを提出してもらわなければいけません

従業員の方を雇う場合に会社に提出してもらう主なものを記載させていただきます。

  • 履歴書・職務経歴書
  • 住民記載事項証明書
    なお、本籍地が記載されている住民票は×
  • 給与所得者の源泉徴収票
    入社年度に他の会社からの給与所得がある場合に提出してもらいます。
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 雇用保険被保険者証
    今までに他の会社で雇用保険に加入していた場合に提出してもらいます
  • 年金手帳・基礎年金番号通知書
    基礎年金番号の記載のある箇所のコピーでもOK
  • 健康診断書(3か月以内に受診した健康診断書)
    従業員を雇う場合には「雇入れ時の健康診断」をしなければいけないことになっていますが、入社時に3か月以内に受診した健康診断書を提出してもらうことができれば雇入れ時の健康診断は不要になります。
  • 通勤交通費申請書
  • 口座振込依頼書
  • 身元保証書
  • 秘密保持誓約書
  • その他