失業保険の基本手当をもらうためには、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上が必要です
この受給要件に該当する方を一般受給資格者といいます。
(誤解があるといけないのですが…)すごく簡単に言うと、会社を辞める日以前に、合計して12か月以上、会社で働いていて雇用保険をかけていれば、一般受給資格者として、失業保険の手当(雇用保険の基本手当)をもらうことができます。
つまり、すごく簡単に言うと、同じ会社で12か月以上働いていて、雇用保険をかけている場合には問題ないと考えていいとは思います。
なお、今の会社では働き始めて12か月も経っていない場合でも、前の会社で働いていた期間を通算することができる場合があります。
それぞれのケースによって異なりますので、詳しくはお近くのハローワークでご確認ください。
- 「被保険者期間」とは、雇用保険の被保険者であった期間(雇用保険をかけていた期間)のうち、離職日から(過去に)1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数(給料支払いの対象となる日数)が11日以上ある月を1か月と計算します。
- 「通算して」とは、連続していなくてもいいということですので、離職の日以前2年間の間で合計してということになります。一定の場合には、前の会社の雇用保険の被保険者期間も通算することができます。
この2つは、失業保険がもらえるかどうかが微妙な方にとっては非常に重要になってくるかもしれません。
一般受給資格者に該当する場合の失業保険の受給日数
1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
全年齢 | - | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
例えば、一般受給資格者に該当する場合には、雇用保険の被保険者であった期間(算定基礎期間)が10年の場合は失業保険の受給日数は120日になります。
例外として、特定受給資格者または特定理由離職者に該当する場合には、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば失業保険の手当をもらうことができます
特定受給資格者または特定理由離職者に該当する方は、失業保険の受給要件も緩和されていますし、手当をもらえる期間も長くなっています。
- 「特定受給資格者」とは、倒産、解雇、長時間の残業(離職の直前6か月間のうちにいずれか連続する3か月で月45時間など)などによって離職した方をいいます。
- 「特定理由離職者」とは、期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した方(いわゆる雇い止め)や、正当な理由のある自己都合(結婚によって遠方に引っ越すので会社に通勤できなくなったなど)により離職した方をいいます。
特定受給資格者に該当する場合には、会社を辞める日以前に、合計して6か月以上、会社で働いていて雇用保険をかけていれば、失業保険の手当(雇用保険の基本手当)をもらうことができます(一般受給資格者と比べて受給要件が少し緩和されています。)。
(これも誤解があってはいけないのですが…)、すごく簡単に言うと、自己都合で会社を辞める場合には「一般受給資格者」、倒産や給料の未払いなど会社都合や、いわゆる雇い止めや正当な理由のある自己都合で会社を辞めた場合には「特定受給資格者」といいます。
どのようなケースに特定受給資格者や特定理由離職者に該当するかについて、詳しくは、厚生労働省職業安定局のページをご覧ください
特定受給資格者に該当する場合の失業保険の受給日数
1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上 35歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上 45歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上 60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上 65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
例えば、特定受給資格者または特定理由離職者に該当する場合には、離職日の年齢が42歳で、雇用保険の被保険者であった期間(算定基礎期間)が11年の場合は失業保険の受給日数は240日になります。
1日分の失業保険の金額(基本手当日額)は、離職前6か月間で平均した1日分の給料の金額(賃金日額)の50~80%くらいです
賃金日額=離職前6か月間に支払われた賃金の総額÷180
基本手当日額=賃金日額×給付率
1日分の失業保険の金額(基本手当日額)は、上記で計算した、離職前6か月間で平均した1日分の給料(賃金日額)の50~80%になります。
もちろん、ハローワークではしっかり失業保険の金額を計算して支給してくれますが、ざっくり考えると、失業保険は今までの給料の50~80%くらいの金額が支給されると考えておくくらいでいいと思われます。
もう少し具体的に失業保険の金額(基本手当日額)を見ていきましょう
離職時に30歳未満の場合の失業保険の金額
賃金日額 | × 給付率 | = 基本手当日額 |
2300円以上4600円未満 | 80% | 1840円~3679円 |
4600円以上11650円以下 | 80~50% | 3680円~5825円 |
11650円超12780円以下 | 50% | 5825円~6390円 |
12780円超 | 6390円 |
離職時に30歳以上45歳未満の場合の失業保険の金額
賃金日額 | × 給付率 | = 基本手当日額 |
2300円以上4600円未満 | 80% | 1840円~3679円 |
4600円以上11650円以下 | 80~50% | 3680円~5825円 |
11650円超14200円以下 | 50% | 5825円~7100円 |
14200円超 | 7100円 |
離職時に45歳以上60歳未満の場合の失業保険の金額
賃金日額 | × 給付率 | = 基本手当日額 |
2300円以上4600円未満 | 80% | 1840円~3679円 |
4600円以上11650円以下 | 80~50% | 3680円~5825円 |
11650円超15610円以下 | 50% | 5825円~7805円 |
15610円超 | 7805円 |
離職時に60歳以上65歳未満の場合の失業保険の金額
賃金日額 | × 給付率 | = 基本手当日額 |
2300円以上4600円未満 | 80% | 1840円~3679円 |
4600円以上10490円以下 | 80~50% | 3680円~4720円 |
10490円超14910円以下 | 50% | 4720円~6709円 |
14910円超 | 6709円 |
失業保険の金額(基本手当日額)は思っていたより少ないですね…
自己都合で会社を辞めるにはそれなりの覚悟と準備が必要だということかもしれません
上記の表を見てみると、失業保険の金額は、多くのケースで今までの給料の60%前後だろうと予想されますし、しかも、今までの給料がいくら高くても失業保険の1日の金額は上限8000円程度ですので、失業保険の金額はかなり少ないという印象を受けました。
もちろん、早期の再就職を考慮しているとは思いますが、離職前に預貯金がほとんどない場合には離職後の生活が苦しくなるケースも多いと思われます。
しかも、自己都合で会社を辞める場合には、待期期間が3か月間もあり、無収入になってしまう期間も長いですので、会社を辞めるにはそれなりの覚悟と準備が必要だということかもしれません。
失業期間を自分にとって有意義な期間にするように考えてみよう
もちろん、上記のような失業保険の金額では、できるだけ早く再就職する必要があるのも事実ですが、自分自身のリフレッシュや、スキルアップやキャリアアップのために有意義に過ごすことができれば、それはすごく意味のある期間になるかもしれません。