近江商人の商売十訓を読めば、ビジネス系の書籍のほとんどは読む必要がなくなってしまうんじゃないか…というくらいの衝撃を受けます
近江商人の商売十訓とは、現在の滋賀県(琵琶湖周辺)に本店を置き、江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考えです。
でも、まったく古くはありません。
なぜなら、商売の在り方や大切にしなければならない考え方は、時代を超えても変わらないものですし、何よりも、この近江商人の三方よしと商売十訓には商売の本質となる考え方が記載されているからです。
だから、近江商人の三方よしと商売十訓を実践すれば、必ずあなたの会社やビジネスがうまく行くはずです。
近江商人の商売十訓
1.商売は、世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり
これが近江商人の三方よしの元になる考え方になっています。
それにしても、近江商人の商売十訓を書いた人は本当にすごいですよね…
三方よしというのは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」と言われていますが、この第一訓では、世間と買い手が先に来て、その後に売り手が来るんですよね。
世間と買い手のことを第一に考えてしていることだから、売り手が正当な報酬を得るのは決して間違ったことではないということです。
だから、その当然の報酬と得るためには、世間のことと買い手のことをもっとしっかり考えなさいということです。
もっと言うと、世間と買い手のためにならないのは商売じゃないということです。
- だって、あなたのビジネスは、世の中の役に立っているでしょ?
- 買った人の役にも立っているでしょ?
だから、あなたが得た報酬は当然のことなんだから、自分のビジネスにもっと自信を持っていいんだよ。
でも、その報酬に見合った仕事ができているかどうかを常に確認することも重要だということを忘れてはいけませんよ。
この言葉を読んでそう言われているような気がしました。
とても勇気付けられた言葉であり、身が引き締まる言葉です。
2.店の大小よりも場所の良否、場所の良否よりも品の如何
重要なことは「品」だよということですよね。
この「品」というのは、マーケティング的には、商品や役務の質ということだろうと思いますが、近江商人の商売十訓を書いた人の奥深さを考えると、いわゆる品質だけではなく、商売人としての品、つまり、接客方法や人柄としての「品(ひん)」や「躾(しつけ)」も大切ですよと言っているのだと思います。
だって、いくら良い商品でも、嫌な人からは買いたくないですからね…
見せかけだけではない、お客さんの信頼を得ることができる、正直で品の良い商売をやりなさい。
この言葉を読んでそう言われているように感じます。
とても身が引き締まる言葉です。
3.売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永遠の客をつくる
この時代にも、必死にお客さんに取り入ろうとする商人もいたということですよね。
ほんと、おもしろいですよね。
今も昔もまったく変わらないんですね…
現在のマーケティング的にも、新規の顧客を獲得するよりも、既存の顧客との関係を大切にするほうが、効率的で、売り手も買い手もストレスが少なく商売ができるといういうことがわかっていますよね。
1度お仕事をさせていただいたお客さんとの関係を大切にしていくことによって、その後もお仕事をいただいたり、他のお客さんをご紹介していただいたり、そして、そのお客さんがさらに他のお客さんをご紹介くださったり…という連鎖が起きることもよくあることです。
- 営業マン(商人)
- 商品
- 値段
の順番だと言われています。
今まで1度も取引をしたことがない会社や営業マンの場合には、やはり、すぐに信用できないというか、不安のようなものがあるのが当然ですよね。
また、仮に、その会社を知っていて、その会社の商品やサービスの良さを知っていても、初めて取引する営業マンであれば、その営業マンが買い手のことを理解して適切な商品やサービスをすすめてくれているのかどうかまではわかりません。
そこのところに不安があるんですよね…
だから、「あの人がすすめてくれるものであれば安心だよね」という関係性を築くことができれば、その後は取引をしやすくなりますし、他のお客さんをご紹介いただけるようにもなるということですよね。
あと、取り扱う商品やサービスは、お客さんが誰かに話したりして紹介や口コミが起こりやすい商品やサービスを選ぶほうが良いということですよね。
4.資金の少なきを憂うなかれ、信用の足らざるを憂うべし
実は、論語の中にも似たような一節があります。
ほんと、本質ですよね。
根本的なところを解決したり改善したりしなければ、いつまで経っても解決しないというか、表面的で、小手先だけの解決ではどうにもならないということですよね。
- 自分や顧客が抱えている問題点にしっかり向き合いましたか?
- 本当の問題点は何なのかをしっかり見極めましたか?
とても身が引き締まる言葉です。
5.無理に売るな、客の好むものも売るな、客の為になるものを売れ
ここにも、近江商人の三方よしの考え方が反映されていますよね。
- 無理に売ろうとすると、お客さんは必ず反発する。
- お客さんが良いと思っているものでも、買った後で失敗したと思うこともあるかもしれない。
- でも、本当にお客さんのためになるものを売れば、買った後に、これを買って本当によかったと思ってもらえるはず。
ということですよね。
近江商人の方々は、「永遠の客をつくる」ことの大切さを知っていて、そのことを念頭に置いて商売をなさっていたということがはっきりわかりますよね。
だから、今でもこうして近江商人の三方よしなどの考え方が残っているんだと思います。
営業成績やノルマだけを追い求め過ぎて、社員が無理に売ろうとするように仕向ける経営方法はもう古いのかもしれませんね。
そういえばそういうホームページ制作会社あったよな…と思い出しました。
6.良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり
この近江商人の商売十訓を書いたのはどんな人なんでしょう…
私は、すっかり近江商人の商売十訓を書いた人のファンになりました。
書いている内容もすごいのですが、この10個それぞれのキャッチコピーというか、コピーライティング、やばくないですか?
「良きものを売るは善なり、良き品を広告して多く売ることはさらに善なり」
こう言われると、もう広告して多く売るしかないですよね?
7.紙一枚でも景品はお客を喜ばせる、つけてあげるもののないとき笑顔を景品にせよ
これは、おそらく、買わせるための景品ではなく、買っていただいたお客さんに対しての御礼のようなイメージというか、そういうカンジがしますよね。
近江商人の方々は、「永遠の客をつくる」ことの大切さを知っていて、そのことを念頭に置いて商売をなさっていたということが本当にはっきりわかります。
とにかく売ればいいんだよ!というのとは真逆の考え方で、商売の原点ではあるんだけど、何か新鮮だと思えてしまいます。
すべてが「永遠の客をつくる」ためなんですよね。
「永遠の客をつくる」ってどうことかというと、子孫の代までずっとこの商売を続けることができるようにということまで考えているんだと思います。
これも当然と言えば当然かもしれませんが、実際にはそんなに簡単なことではないと思うんですよね…
8.正札を守れ、値引きは却って気持ちを悪くするくらいが落ちだ
今の時代では、○○%offみたいに値引きしないと売れないというか、買ってもらえない、値引きするのが当然のようになってしまっているようにも思いますよね。
でも、実際には、例えば、値引きできるのなら最初から値引きした値段で売るべきじゃないのかと気分を悪くするお客さんもいるかもしれないですよね…
つまり、この言葉が言いたいのは「商品と自分に対して自信やプライドを持ちなさい」ということだと思います。
近江商人の商売十訓にはそれぞれ想いが込められていますよね。
9.今日の損益を常に考えよ、今日の損益を明らかにしないでは、寝につかぬ習慣にせよ
損益を考えると、問題や課題を見つけることもできるだろうし、それを解決する方法も探し出すだろうということですよね。
そして、何よりも、毎日、損益やその日にあったことを考えることによって、流行や時代の変化に気付き、早く対応することもできますよね。
当然かもしれませんが、近江商人の方は、商売が子々孫々の代までずっと永遠に続くことを願っていたんだなと思います。
そして、それと同時に、目の前の利益を追いかけてしまうという人間の弱さもわかっていたんだと思います。
10.商売には好況、不況はない、いずれにしても儲けねばならぬ
景気や競合他社のせいにしても問題が解決するわけがありませんよ。
どの状況にあっても儲けるためには何をしなければならないのかをしっかり考えて実践しなさい。
そして、何よりも、自分たちががんばらなければ、目先の利益だけを追及して、お客さんのことを考えていない他の会社や営業マンが粗悪な商品やサービスを売りつけてしまう。
そうなると、世の為、人の為にならない。
だから、自分たちががんばらなければならないんだよ。
だって、自分たちのの商売は、世の為、人の為の奉仕なんだから…
この記事を書いたのは…
行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
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備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士.キャリアコンサルタント)