そもそも、マズローの欲求5段階説とは…
マズローさん(以上、以下、敬称略)は「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、下の階層の欲求が充たされると、より上の階層の欲求を欲するようになる」と言っています。
マズローのこの考えによって、当たり前のように思っていることは当たり前のことではなく、とても貴いことであることに気付かされます。
また、自分らしく生きるためにはとても大切だと言えると思います。
マズローの欲求5段階説を試験勉強のレベルで終わらせるともったいない
中小企業診断士やキャリアコンサルタントなどの試験の勉強では「マズロー=欲求5段説=不可逆的」「アルダファー=ERG理論=可逆的(同時並行)」みたいなカンジで、さっと通り過ぎて終わってしまうところはありますが、マズローの欲求5段階説を試験勉強のレベルで素通りしてしまうと、ちょっともったいないと思います。
マズローの欲求5段階説についていろいろ書いていますので、よろしければお付き合いくださいませ。
人間の欲求の5段階のピラミッドとは…
第1階層 生理的欲求
生理的欲求とは「食べたい」「寝たい」など、人が生きていくために必要な本能的な欲求のことです。
「食事」や「睡眠」は、命を維持するために必要不可欠であり、人が生きていくために必要で本能的な欲求ですので、この欲求が満たされない状態では、次の欲求を満たそうとするエネルギーや余裕が出てきません。
目標達成や自己実現をするためには、まずは、心身ともにコンディションを整えることが非常に大切です。
今、あなたは、しっかり食べて、しっかり寝ることができていますか?
第2階層 安全欲求
安全欲求とは「安全で安心して暮らせる家が欲しい」「健康でいたい」という欲求のことです。
マズローによれば、「食事」や「睡眠」によって最低限の欲求が満たされると、次に出てくるのは「安全(安心)」や「健康」に対する欲求です。
生活の本拠となり、心が休まる家、安心できる家があり、そして、心身ともに健康であること。
国や地域の平和、国の安全や安定も含まれるかもしれません。
今、あなたは、物理的にも、心身ともにも、安全で健康ですか?
第3階層 社会的欲求(帰属欲求)
社会的欲求(帰属欲求)とは「グループやサークルに所属したい」「仲間や家族が欲しい」という欲求のことです。
心身ともに安全で、健康であり、経済的にも安定してくると、心身的にも、経済的にも余裕が出てきますので、さらに上位の欲求を求めるようになります。
現代社会では、グループやサークルに所属することや、仲間や家族を持つことによるわずらわしさを考えることもあるようですが、人間は、本質的に集団に属して生活してきた歴史もありますので、グループやサークルに所属することや、仲間や家族を持つことによって、平穏や幸せを感じるということだと思います。
一方で、この社会的欲求(帰属欲求)が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じたり、疎外感のようなものを感じたりすることもあります。
学生時代にサークル活動やアルバイトをしたり、社会人として会社で働いたり地域の活動に参加したりすることは、経済面の目的だけではなく、このような側面もあるのだと思われます。
また、会社で働くこと、グループやサークルに所属することや、家族を持つことは、支え合える仲間を持つことであると考えることもできます。
困難や人生の転機に直面した時、何らかの支援があればそれを乗り越えやすくなります。
もちろん公的な経済的な支援も必要となることも多いかもしれませんが、やはり身近な人の支援が心身ともに支えとなることもあります。
今、あなたには、支え合える仲間や家族がいますか?
第4階層 尊厳欲求(承認欲求)
尊厳欲求(承認欲求)とは「他の人から認められたい」「尊敬されたい」という欲求のことです。
「他の人から認められたい」「尊敬されたい」という欲求には大前提があります。
それは、他の人から認められたり、尊敬されたりするためには、大前提として、自分自身が、他の人から認められるような、尊敬されるような言動をしているかということです。
そうでなければ、いくら「他の人から認められたい」「尊敬されたい」と欲していても、いつまで経っても何も変わりません。
今、あなたは、他の人から認められるような、尊敬されるような言動をしていますか?または、それと逆になるような、言動をしていませんか?
自分自身から相手に対して「承認」や「尊敬」の気持ちを伝えることも大切です。
「ありがとう」という言葉でいいんです。
夫婦や家族など、近い人に言うのは照れ臭いものですが、「ありがとう」の言葉ひとつで救われることもあると思います。
あなたは、夫婦や家族に対して、「ありがとう」という言葉を言っていますか?気持ちを伝えていますか?
第5階層 自己実現欲求
自己実現欲求とは「自分が思い描く自分のあるべき姿、自己を実現したい」という欲求ことです。
自分には夢や目標がないという人もいるかもしれませんが、それでも、大きい小さいは関係なく何か夢や目標のようなものを持っていると思います。
「自分が思い描く自分のあるべき姿」というのは、人それぞれですので、他の人と同じである必要はありません。
「良い大学に入りたい」
「良い会社に入りたい」
「お金を稼ぎたい」
「起業して大きな会社にしたい」
「結婚したい」
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「家族みんなが健康で仲良く暮らしていければいい。良い時も良くない時も支え合えるような、そういう家庭を作りたい。」
というのも自己実現のひとつです。
今、あなたが思い描く自分のあるべき姿、実現したい自己の姿がありますか?それはどのような姿ですか?
さらに、マズローは「欲求階層は上の高次の欲求に行くだけで低次の欲求に行くことはない」(欲求の不可逆性)」と言っています
欲求の不可逆性とは…
マズローは「欲求階層は上の高次の欲求に行くだけで低次の欲求に行くことはなく、いったん満たされた欲求は欲求ではなくなり、再び欲求になることもない」と言っています。
このことを「欲求の不可逆性」といいます。
人生が順調に進んでいればそうかもしれませんが…
人生が順調に進んでいて、経済的にも心身的にも充実している状態で一生過ごすことができれば、確かに、マズローの考えている通り「欲求階層は上の高次の欲求に行くだけで低次の欲求に行くことはなく、いったん満たされた欲求は欲求ではなくなり、再び欲求になることもない」と言えるかもしれません。
「欲求」ということだけを考えると、マズローの言う通りで、下の階層の欲求が満たされている状態であれば、それを意識的に欲することはないでしょう。
自ずと上の階層の欲求を求めることになるはずです。
しかし、人生には何度かの転機が訪れます。
学校を卒業し、就職し、結婚し、子供が生まれ…、自分が思い描いている通りに順調に年齢を重ねることができればいいのですが、経済的な問題であったり、健康の問題であったり、家族や夫婦の問題であったり…と人生には様々な転機が訪れます。
例えば、順調に進んでいた事業が傾いてしまうこともあります。
自己実現の欲求を満たしつつあったはずですが、資金繰りが思うようにいかず、経済的にも心身的にも追い詰められてしまうなど、転機の大きさによっては、もしかすると第1階層や第2階層の状態になってしまうこともあるのではないかと思います。
離婚や仕事を辞めることになったなども同じですよね。
でも、そういう場合は、少し休んでからまた最初から自己実現に向けて始めればいい
また同じようなこと積み上げていくことはしんどいですよね…
少し休んでからまた最初から始めましょう。
そして、少しずつ積み上げていきましょう。
「最後まで・・・希望をすてちゃいかん あきらめたらそこで試合終了だよ」
なぜか最後にスラムダンクの安西先生の言葉で終わりです。
以上、マズローの欲求5段階説についてでした。
最後まで読んでくださりありがとうございました(飛ばし読みでも、斜め読みでも、ありがとうございました)。
マズローの欲求5段階説についてセルフチェックをしてみましょう
- 今、あなたは、しっかり食べて、しっかり寝ることができていますか?
- 今、あなたは、物理的にも、心身ともにも、安全で健康ですか?
- 今、あなたには、支え合える仲間や家族がいますか?
- 今、あなたは、他の人から認められるような、尊敬されるような言動をしていますか?または、それと逆になるような、言動をしていませんか?
- あなたは、夫婦や家族に対して、「ありがとう」という言葉を言っていますか?気持ちを伝えていますか?
- 今、あなたが思い描く自分のあるべき姿、実現したい自己の姿がありますか?それはどのような姿ですか?
- 最初から無理だと思って何もせずにあきらめてしまっていませんか?または、途中でやめてしまっていませんか?
この記事を書いたのは…
行政書士事務所/社会保険労務士事務所 ビジョン&パートナーズ
大阪市中央区備後町1丁目4番16号
備一ビル501号室
代表 高瀬満成(行政書士.社会保険労務士)