傾聴のスキルを身に付けると必ずあなたの人生が変わります

ロジャーズの人間観や方法論
ロジャーズは、「人は成長力を内に秘めていて、自分の問題について自分が1番良く知っている」として、本人の成長可能性を最大限に活かすことに重点を置いた人間観や方法論を主張しました。

これがロジャーズの来談者中心療法(クライエント中心療法)の基本的な考え方となります。

そして、その中に「傾聴」というものがあります。本来は「来談者中心療法=傾聴」とはいえませんが、ニアリーイコールとして「来談者中心療法≒傾聴」くらいで考えているほうがわかりやすいとは思います。

つまり、傾聴とは、本人の成長可能性や問題解決方法がその人の内にあるということにその人自身が気付くことを支援するということだと言えるかもしれません。

傾聴とは具体的に何をすることなのか?(総論的理解として…)

来談者中心療法の3つの条件
「傾聴の3つの条件(基本的な態度や姿勢)」と考えてもいいかもしれません。

  • 受容的態度(無条件の肯定的配慮)
  • 共感的理解
  • 自己一致(純粋性)

カウンセラーには、この3つが必要だと考えられています。

もちろん、カウンセラーだけでなく、仕事や家庭などの人間関係にも非常に重要だといえますので、自分の生活の中に少しでも取り入れていくと、自分も周りの人も少しずつ変わることができるはずです。

以下、それぞれについて少し詳しく見ていきましょう。

受容的態度(無条件の肯定的配慮)とは…

傾聴における受容的態度(無条件の肯定的配慮)とは、自分の価値観や好みによらず、相手のどの側面にも偏りなく肯定的な関心を向けることをいいます。

受容というのは受け入れること

つまり、受容とは、「相手の考え方などを大切にする」「理解する」「尊重する」ということです。

そして、相手のことを「否定しない」ということにつながります。

また、相手を「見守る」ということでもあります。

自分の意見を押し付けず、相手を尊重するということが大切だということです。

傾聴はカウンセラーのスキルのひとつではありますが、仕事や家庭などの人間関係にも非常に重要だといえると思います。

あと、私自身は、受容的の、「的」というのも非常に重要だと考えています

あくまでも、「的」だと思います。

相手のすべてを受け入れるということは、自分自身の考えを押さえこんでしまったり自分自身を壊してしまう可能性もありますので、やはり「的」であることが重要だと思います。

このことは、3つ目の自己一致にもつながっていくことになると思います。

共感的理解とは…

傾聴における共感的理解とは、相手と同じ気持ちを共有すること、自分の心の中で相手の心を感じ取り、その感じ取ったことを丁寧に相手に伝え返していくことをいいます。

相手の考えを否定せず、相手の気持ちを共感して理解するということは、1つ目の傾聴における受容的態度(無条件の肯定的配慮)とつながるところがあります。

人は、自分のことを理解してくれる人には好意を抱くものです。

しかし、相手の気持ちに共感し、理解していたとしても、それを相手に伝えなければ相手には何もわかりません。

傾聴とは、ただ「聴く」ということではありません
重要なことは、相手の気持ちに共感し、理解することに合わせて、そのことを相手に丁寧に伝えるということです。

相手に丁寧に伝えるということによって、相手との理解や信頼関係を築く第一歩になるといえるでしょう。

これらのことは、仕事や家庭などの人間関係にも非常に重要であり、そのことによって人間関係を潤滑に進めることができると思います。

自己一致とは…

来談者中心療法の3つの条件(傾聴の3つの条件、基本的な態度や姿勢)の中で、自己一致の説明は少し難しいところがありますが、傾聴における自己一致とは、受容的態度(無条件の肯定的配慮)と共感的理解に矛盾がないことをいいます。

「うわべ」だけの対応で、実感の伴わない理解を無理に言葉にすると、相手は自分自身が雑の扱われていると感じる可能性もあります。

それは傾聴とはいえないということかもしれません。

傾聴について、ちょっとだけ補足して…

よく言われていることではありますが…

「聴く」とは…

「聴」とは、「耳」「+」「目」「心」を合わせて「聴」ということである。
といわれています。

つまり、傾聴の基本とはそういうことなんだと思います。

傾聴においては「非言語的なコミュニケーション」も非常に大切です

「伝える」「伝わる」ということ

傾聴では、「聴く」ということに合わせて、自分の受容的態度(無条件の肯定的配慮)と共感的理解を「伝える」ということ非常に重要です。

相手に伝わらなければ、それは何もないのとほぼ同じかもしれません。

そして、傾聴においてもっと重要なことは「伝わる」ということです

これは悪い意味での「伝わる」ということであり、非言語的なコミュニケーションによって「伝わってしまう」といったほうが正しいかもしれません。

自己一致していないことが、目や表情、口調や言葉遣い、それらの態度(非言語的なコミュニケーション)によって、意図せず、相手に伝わる、伝わってしまうこともあります。

このことは自己一致の問題とも関係してくるかもしれませんが、傾聴において非常に大切なことだと思われます。

「意図せず伝わってしまう」ということ、そのことを意識しておくことも重要だと思われます。

傾聴のチェックポイント(各論的理解として…)

パーソナルスペース

近すぎず、適当な距離感を。

視線、声のトーン

視線を合わせ過ぎず、自然に視線を合わせたり外したり。

声のトーンを相手に合わせます。

優しい視線、優しい声のトーンで話しましょう。

表情合わせ、ペース合わせ

自然な笑顔を基本として、相手の表情に合わせます。

ペースやテンポも相手に合わせます。

うなずき、あいづち

適度なうなずきやあいづちを。

優しく、少しゆっくり。

相手の話をゆっくり最後まで聴くということでもあるでしょう。

「閉ざされた質問」と「開かれた質問」

閉ざされた質問とは「はい」「いいえ」で答えられる質問です。

これに対して、開かれた質問とはいろいろと話してももらう質問です。

相手の話を聴くということは、相手のことを知り、理解するために非常に重要です。

称賛

相手のいいところやがんばっていることに称賛します。

自分のことを認めてもらえると嬉しいのは誰もが持っている気持ちです。そういう意味では、「称賛」する、というよりも、「称認」するということかもしれません。

繰り返し

相手の言葉を繰り返します。

短い言葉でいいでしょう。

傾聴といえば、「繰り返し」といわれるくらい非常に効果的な方法です。

感情の反射

相手の言葉の中の感情をくみ取り、その感情をそのまま丁寧に返します。

相手の感情を共有する、共感的理解のひとつといえるでしょう。

傾聴とは…

傾聴とは、相手のことを受け入れ、理解し、相手に寄り添い、「空間を共有する」こと、そういう姿勢や態度だといえるかもしれません

傾聴というのを考えたり説明したりするときに、ややもすればテクニック的なことに片寄りがちになってしまうことがありますが、テクニック的なことは各論的なところであり、やはり、受容的態度(無条件の肯定的配慮)、共感的理解、自己一致(純粋性)という傾聴の3つの条件というのは非常に重要だと思います。

この3つの姿勢や態度が傾聴の基本的な部分であり、この総論的な部分の理解がなくては各論的なところの理解も不十分になってしまうと思われます。

伝わってしまうということも非常に重要です。

傾聴というのは、テクニック的な問題ではなく、自分自身の言動などのもっと根本的なところを見つめ直すことにおいて非常に有効だといえるのではないでしょうか…