コールドリーディングは、あなたも相手も幸せにするコミュニケーション方法なんです

コールドリーディングはラポールの形成から始まります

ラポールの形成とは…
  • 「私のことを理解してくれている」
  • 「私のことをわかってくれている」

という信頼関係を築くことをいいます。

ラポールの形成、つまり、信頼関係の形成は、コールドリーディングだけでなく、人間関係の基本となる非常に重要なものです。

コールドリーディングのテクニックをご紹介する前に、まず、ラポールの形成についてご説明させていただきます

ラポールの形成はコールドリーディングをしやすくするための準備として非常に重要です

コールドリーディングと言っても、魔法使いではありませんので、心の壁を開いてもらわなければ相手のことがわかりません。

初対面の場合、お互いの間に、目には見えない心の壁みたいなものがありますので、コールドリーディングをするためにはこの心の壁を少しずつ開いてもらう必要があるんですよね。

信頼関係がない場合には、相手は、心を開いて話をしてくれないですし、あなた自身の言葉を信じることができません。

コールドリーディングは、ラポールの形成の上に成り立ちます。

コールドリーディングをしやすくするために、ラポールの形成をしていると考えてもいいかもしれません。

ラポールの形成とはそれくらい重要なものであるとご理解いただくといいでしょう。

ラポールの形成は、話し始める前の第一印象から始まっている

メラビアンの法則というのがあるのですが、ご存知でしょうか?

人は見た目が9割と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

メラビアンの法則によれば、コミュニケーションにおいて相手が(無意識的に)重視しているのは…
  • 見た目やボディランゲージが5割以上
  • 声のトーンや口調が約4割
  • 話している内容が1割未満

ということなんです。

見た目が9割というのは言い過ぎのように感じますが、いずれにしても、第一印象で最初に受けるイメージがその後を左右してしまう可能性があるということなんです。

「信頼できそう」「優しそう」だと感じる見た目、声のトーンや口調によって、心を開きやすくして、コールドリーディングをしやすくするということも非常に重要です。

また、逆に、相手の見た目、声のトーンや口調によって、相手の性格や人間性を予想するということにも役立ちます。

第一印象も、ラポールの形成も、すべてコールドリーディングをしやすくするための準備として非常に大切です。

以下、ラポール形成のためのテクニックをご紹介します

ミラーリング

ミラーリングとは、鏡のように、相手の表情やしぐさに合わせることをいいます。

傾聴では「表情合わせ」と言われているものに近いですね。

ミラーリングとは…
  • 視覚による協調
  • 視覚による共感

と言ってもいいかもしれません。

ミラーリングをすることによって、相手は、自分の話をしっかり聴いてくれて、自分のことを理解してくれていると感じることができますので、コールドリーディングの準備段階として非常に重要です。

なお、わざとらしいミラーリングは逆効果になるところがありますのでご注意ください。

ペーシング

ペーシングとは、相手の話し方やリズムを合わせることをいいます。

傾聴では「ペース合わせ」と言われているものに近いですね。

ミラーリングとペーシングの違いは…
  • ミラーリングは表情やしぐさを合わせる
  • ペーシングは話し方やリズムを合わせる

ということです。

いずれにしても、重要なことは、相手をしっかり見て、話を聴いて、相手に合わせるということです。

このことがコールドリーディングの準備段階として非常に重要となります。

キャリブレーション

キャリブレーションとは、ディスプレイやプリンターなどの機器の色再現性を、正確かつ安定にするために調整するという意味だそうです。

コールドリーディングのキャリブレーションは、相手の「言葉」と「心理状態」のズレを、姿勢・呼吸・表情・声のトーンなどの、言葉以外の情報によって認識して、調整することをいいます。

傾聴では「非言語コミュニケーション」と言われているものに近いですね。

キャリブレーションをするためには、相手のことをしっかり見て、聴いて、相手の心理状態をしっかり感じ取ることが必要です。

洞察力といってもいいかもしれません。

洞察力はコールドリーディングには欠かすことができない重要なスキルや能力と言っても過言ではありません。

バックトラッキング

いわゆる「オウム返し」のことをいいます。

バックトラッキングは、傾聴で「繰り返し」と言われているものに近い
  • 相手の言ったことをそのまま繰り返す
  • ポイントをまとめて要約する

ただ単に、繰り返すのではなく、内容を確認しながら、話を聴くということでもあります。

バックトラッキングをすることによって、相手は、自分の話をしっかり聴いてくれて、自分のことを理解してくれていると感じることができますので、コールドリーディングの準備段階として非常に重要です。

これらのテクニックは、ただ単に相手のマネをしながら聴いているわけではありません

コールドリーディングでは、ラポールの形成をしながら、しっかり相手の話を聴いて、相手の人間性や価値観を確認することが大切なんです

つまり、コールドリーディングの準備段階として…
  • 相手の話を丁寧に聴く
  • 相手の人間性や価値観を確認する

を同時に行っているんです。

これがコールドリーディングの基本となるところです。

以下、コールドリーディングのテクニックをご紹介します

コールドリーディングは、「相手のことを当てるのではなく外さないようにする」ことが非常に重要なんです

「当てる=外さない」「外れていない=当たっている」ということなんです。

このことは非常に大切です。

ラポールを形成して、ある程度の信頼関係がある場合には、「外れていない=当たっている」というふうに考えやすくなりやすくなるというところもあるんですよね。

信頼関係がない場合には、「外れていない=当たっている」ではなく、余計に怪しいというふうに感じてしまうかもしれません。

バーナム・ステートメント

バーナム・ステートメントとは、バーナム効果を活用したコールドリーディングのことをいいます。

バーナム効果とは…
バーナム効果とは、「誰にでも当てはまるような曖昧で一般的なこと」を、「あたかも自分に当てはまる(当たってる!)と捉えてしまう」心理的効果のこと。

「誰にも当てはまる」ということは、「外さない」ということなんです。

例えば、人の性格について、「優しい」や「誠実」というのがありますが、一般的に、どんな人でも、多かれ少なかれ、「優しい」ところや、「誠実」なところがあります。

また、多かれ少なかれ、「家族思い」や「友達思い」など、「○○○思い」という一面があります。

コールドリーディングで重要なことは、外さないために、「誰にでも当てはまるような曖昧で一般的なこと」をうまく使うということなんです。

当たってる!っていうことは、受け入れるということでもあるんです。

だから、相手にとって、嬉しいことや気分が良くなる「誰にでも当てはまるような曖昧で一般的なこと」のほうがいいかもしれません。

逆に、相手にとって、マイナスのイメージを与えてしまうようなことであれば、反発心を抱かれてしまう可能性があるかもしれません。

例えば、「傷付きやすい」という一面もありますと言う場合には、それだけで使うとマイナスのイメージを与えてしまう可能性もありますので、例えば、「優しいところがある反面、傷付きやすいようなところもありますよね」というふうに組み合わせて使うほうがいいかもしれません。

この組み合わせて使うのが「虹色の戦略」というテクニックなんです。

虹色の戦略

虹色の戦略とは、「対局的にある2つのことを同時に指摘すること」をいいます。

例えば…
  • 「優しいところがある反面、傷付きやすいというようなところもありますよね」
  • 「明るいところがある反面、○○○○というようなところもありますよね」

どちらも「誰にでも当てはまるような曖昧で一般的なこと」ですので外れにくいうえに、対局的にある、「隠れていそうなことを指摘する」ことによって、あたかも自分のことがわかってくれていると感じるということですね。

ダブルバインド

ダブルバインドとは、「2つの選択肢からどちらかを選んでもらうようにすること」をいいます。

例えば…
  • AプランとBプランどちらがよろしいでしょうか?
  • 土曜日と日曜日どっちがいい?
  • 今週と来週どっちが行けそう?
  • LINEとメールどっちがやりやすい?

というカンジですよね。

YESかNOで答える場合には、NOになってしまう可能性がありますが、2つの選択肢があれば、そのうちのどちらかを選んでもらえる可能性が高くなり、NOになる可能性が下がるということです。

選択肢はあなたが準備しますので、相手がどちらの選択肢を選んでも、あなたにとってはOKなんです。

いわゆる、断られない方法ですよね。

しかも、2つ(または3つくらいまで)の選択肢の中から、相手に選んでもらっているようにして、相手に配慮しているようにも見えますが、実は自分が作った選択肢ですので、そもそもどちらを選んでもらってもいいということです。

漠然と「何が良い?」「いつが良い?」と言われるよりも、選択肢を準備することによって、相手も選びやすくなるという効果もありますので、話がスムーズに進みやすいという効果もありますね。

サトルクエスチョン

サトルクエスチョンと次のサトルネガティブは、会話の糸口をつかんだり、相手のことをうまく聴き出したりするために非常に有効です。

例えば…
初対面の場合で、相手の男性が背が高くガッチリしているタイプの場合には、「背が高くて、ガッチリなさってますよね~。学生時代は野球部だったんですか?」というふうに、相手のイメージに合わせて、ある意味、適当な、質問してみるということです。

これって、実際によく使われていますよね…

会話の糸口をつかむためには非常に有効なんです。

営業などのお仕事の場合には、ただの雑談にならないように、その後の話の展開をしっかり準備しておくといいですよね。

サトルネガティブ

例えば…
会社や事務所におじゃまして、経営者の方などにお会いした場合に

  • 「キレイな会社ですね~。お仕事も順調そうで、お困り事や問題は何もなさそうですね~。」
  • 「従業員の方はどれくらいいらっしゃるのですか?…すごいですね~。従業員の方もしっかり仕事なさっているようですし、何の心配もなくて、安泰ですね~。」

とさらっと言ってみる。

そうすると、「いやいや、そんなこともないんですよ~。実は…」となることもありますよね。

褒め言葉のようで、実は質問しているんですよね。

これも実際によく使われることです。

営業のお仕事をなさっている場合には、いろんなパターンを作っていろいろ試してみるといいかもしれません。

なお、仮に、「いやいや、そんなこともないんですよ~。実は…」とならなかったとしても、それはそれでいいんですよ。

この質問は「…ではないですよね?」という否定疑問文になっていて、「寒くないですか?」「痛くないですか?」と同じで、寒くても寒くなくてもどちらにも対応できるんです。

しかも、むしろ、寒くないほうがいいんです。

だから、仮に「いやいや、そんなこともないんですよ~。実は…」とならなかったとしても、何の困り事も心配事もないということですので、むしろ、それはそれでいいんですよね。

その後は、その後で、別の展開をしていけばいいということです。

自己重要感の肯定

会社や家庭では、自分の「がんばり」や「(かけがえのない)存在」を言葉にして認めてもらえる機会はほとんどありません。

それが一般的であり、普通のことかもしれません。

でも、やっはり、人間は自分自身の存在や重要性を認めて欲しいものなんです。

例えば、会社や家庭でちょっとした問題が起きて気持ちが沈んでいる、そんな時に、普段の「がんばり」を認めてくれるだけで嬉しいものです。

でも、近くにいる人たちはなかなか言葉に出してくれない。

だから、そのことを言葉にしてくれる人は本当に嬉しい存在になるんです。

以上、コールドリーディングについて紹介させていただきました

コールドリーディングは、相手に対する優しさでできている

コールドリーディングは、心理学の効果をうまく活用しているだけのことであり、決して詐欺的なものではありません。

むしろ、あなたも相手もみんなを幸せにするコミュニケーション方法のひとつなんです。

コールドリーディングのテクニックは上記以外にもまだまだたくさんありますので、専門の書籍などを何冊か読んで勉強なさってみるといいかもしれません。