職場の人間関係では、自分から一歩譲ることが最善となることもある

相手のためになることは、実は自分のためになるんです

中国の古典「菜根譚」の言葉
世を処するに一歩を譲るを高しとなす。歩を退くるは即ち歩を進むるの張本なり。人を待つに一分を寛にするはこれ福なり。人を利するは実に己を利するの根基なり。

一歩譲ることが最善の処世術

職場の人間関係においては、どんな些細なことでも一歩譲ることが大切なんですよね。

職場の人間関係において、上司や同僚と意見が合わない時には、相手の意見を優先するようにしてみましょう。

意見の対立が起きると、本当に大切なことから外れて、感情的な対立に発展することがあります。

本当に大切なことは何なのかをしっかり考えて、譲るべき時は譲ることも大切です。

最も大切なことは、あなた自身が最も大切なことをしっかりわかっていることです。

もっと言うと、相手は誰かに何かを譲ることができる人なのかどうか、意見が合わない場合に相手の意見を聴くことができる人なのかを、あなた自身がしっかり見極めることなんです。

職場の人間関係だけでなく、ビジネスや社会生活においても、一歩譲ることが最善の処世術だ言えるでしょう。

1歩進むためには1歩退くことが基本

  • 1歩退くことは1歩進むこと
  • 逆に、1歩進むことは1歩退くこと

「1歩進んだ」「うまくいった」と思ったのは一瞬で、その後は、ずるずると退くことになってしまうこともよくあることです。

うまく勝つためには、まずは1歩退いて、時を待つことも非常に大切な戦略です

職場の人間関係だけでなく、ビジネスや社会生活においても、1歩退くことが1歩進むことになるということをしっかり心にとどめておくことが大切です。

寛い心を持って人を待つのが善い

寛い心で時間に遅れてきた人を待つ

「時間に遅れることは信頼を失う」ということは事実ですが、時間にとても厳しくて、約束の時間に5分遅れたことについて30分以上もお説教するという上司や同僚もいるでしょう。

もちろん、仕事だけでなく、社会生活においても、時間を守るということは非常に大切なことですが、一方で、このような上司や同僚は、本当に大切なことから外れてしまっているということも言えるかもしれません。

本当に大切なことから外れてしまう上司や同僚に対しては、時間に遅れたことよりも、その上司や同僚のことが嫌になるということが起こります。

職場の人間関係だけではなく、他の場合でも同じですが、自分が逆の立場になった場合には、「人を待つに一分を寛にするはこれ福なり。」という言葉をしっかり心にとどめておき、本当に大切なことから外れないようにしておきましょう。

寛い心で部下の成長を待つ

仕事ができるようになる成長スピードはそれぞれ異なります。

「なんでできないんだよ!」ではなく、あと少し待ってみるという心の余裕が必要です。

そして、それと同時に自分の教え方を工夫できるところがないかを考えてみることも大切です。

職場の人間関係だけでなく、子供の成長においても、「成長を見守る」「相手の成長に合わせて自分も成長する」という心の余裕が大切です。

相手も、自分も、助走期間が長いほうが「長く」「遠くへ」飛んでいくことができるんです。

寛い心で新たな社員を迎える

新入社員でも人事異動でも同じですが、すでに人間関係ができ上がっている職場に入っていくことは簡単ではありません。

新たに職場に入ってくる人は、多かれ少なかれ緊張状態にあります。

そういうことを理解して、職場の人間関係にとけ込みやすくなるように迎えることが大切です。

決して疎外感を与えることなく、寛い心で新たに職場に入ってくる人を迎えましょう。

相手のためになることが自分のためになる

部屋に入る時や出る時には、相手に先を譲るようにしてみましょう。
そうすると、相手だけでなく、あなたも出入りがしやすくなります。

意見が対立する場合には、少し譲歩してみましょう。
そうすると、相手も譲歩してくれやすくなります。

寛い心で相手を待ちましょう。
そうすると、相手はあなたの気持ちを理解してくれやすくなります。

世を処するに一歩を譲るを高しとなす
少し譲るのは、すべて、相手のためではなく、自分のためなんです。

いつも先に譲ってばかりかもしれません。

でも、いつかあなたが本当に大切な時に先を譲ってくれる人が現れることになるはずです。

職場の人間関係こそ、相手の話を傾聴することが大切なんです

中国の古典「論語」の言葉
人の己れを知らざるを患えず、人を知らざるを患う。

相手が自分のことを理解してくれないと悩むよりも、自分が相手のことを理解していないことを知るべき

この言葉は、コミュニケーションの本質を言っています。

つまり、コミュニケーションにおいては、自分の話を相手に理解してもらうようにするのではなく、相手の話をよく聴いて、相手のことを理解することが大切です。

これは、相手のことをすべて優先しなさいということではなく、相手の話をしっかり聴いて、相手がどのような考え方をしているのかをしっかり確認しなければ、相手に自分の話を聴き入れてもらえないということなんです。

職場の人間関係においては、上司や同僚がどんな考え方をしているのかをしっかり確認しながら話を聴くようにしましょう。

職場の人間関係だけでなく、ビジネスなどでも必ず役に立つはずです。

相手の考え方に共感する

現在、世の中では「共感」という言葉を耳にすることがあります。

ただ、世の中で耳にする「共感」とは、「同じ考え方である」とか「同じ意見である」のような意味のように感じます。

つまり、この共感は、「共感できる」とか、「共感できない」とか、どちらかというと、「自分寄りの共感」だと言えると思われます。

実は、傾聴における共感とは、もっと「相手寄りの共感」なんです

傾聴の共感は、自分が共感できないことをはねのけることではなく、相手に寄り添い、相手を理解することなんです。

コミュニケーションではこのことが非常に大切です。

でも、もちろん、相手と完全な一体感を持つ必要はありません。

私は私、相手は相手であり、どちらも尊重するという「ポジティブな離別感」を持つことも非常に大切です

そう考えると、自分と考え方が異なる相手であっても、相手の考え方を受け入れやすくなります。

「相手は相手、自分は自分。」

自分と異なるからといって、相手を除外したりはねのけたりするのではなく、相手を認めて、尊重する。

職場の人間関係では、このことは非常に大切です。

ラポールを形成する

もしかすると「ラポール」という言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。

ラポールを形成するとは、簡単にいうと、「相手との信頼関係を築く」ことを言います。

つまり、相手から信頼してもらえるようにする。ということです。

極論すると、ラポールを形成するとは、相手を信頼するかどうかは別として、相手から信頼してもらうようにするということを意味します。

もっと言うと、ラポールを形成するとは、相手のことを信頼できるかどうかとか、相手のことが好きかどうかではなく、相手から信頼してもらうようにするという、少しブラック心理学的な考え方をすることもできるんです。

だからこそ、「共感」や「ポジティブな離別感」が大切になります。

職場の人間関係やビジネスにおいて非常に大切です。

職場の人間関係は、すべて自分でどうにでもできるんです

正見(しょうけん)

これは仏教の言葉です。

正しく生きるための「八正道」のひとつです。

結局のところ、人は、自分の眼と心を通して、事実の一部して見ていませんし、感じていません

事実をどのように見て、どのように感じるのかは、すべてあなた自身が無意識に決めています。

  • 恋は盲目と言われるように、恋をしている時は、相手の良いところを見ている
  • でも、結婚すると、同じ相手なのに、悪いところばかりが目に付く

職場の人間関係でも同じです。

一面だけでなく、他の面も含めて、事実を正しく見ることが大切です。

汝自身を愛するように、汝の隣人を愛せよ

これはキリスト教の言葉です。

上記の正見も同じですが、宗教的なことを言っているのではありません。それよりも、どちらかと言うと哲学的です。

  • 職場の人間関係をどのように見るのか、感じるのか
  • 近くにいる相手を自分のように愛するのか
  • それとも、些細なことで嫌な感情を持つのか

どれを選ぶこともできるんです。

しかも、それを選ぶのはあなた自身です。

すべて自分が決めることができるんです。

つまり、職場の人間関係は、ほとんどが自分自身の問題なんです

だったら、自分と同じように相手のことも大切にしてみてはいかがでしょうか?

まずは自分自身の思考や想いを少し変えてみることによって、職場の人間関係が少し変化してくるはずです。

職場の人間関係がどうにもならない場合には 自分が壊れてしまう前にその職場を離れるのも大切です

キレイ事ではどうにもならないことがあります

上記では、あなた自身の思考や想いで職場の人間関係はどうにでもなると記載してきましたが、現実問題としてどうにもならないことがあるのも事実です。

実際は、理屈ではどうにもなりませんし、キレイ事でもありません。

このことも事実です。

自分の思考や想いを変えて、自分でできる範囲でいろいろやってみたけど職場の人間関係が変わらない

これ以上はもう無理だということもあるでしょう。

その場合には、その職場はあなたがいるべきところではありません。

あなたがいるべきところは他にあるのかもしれないと教えてくれているんだとポジティブに考えて、自分を求めてくれるところへ行ってみるのもいいでしょう。

むしろ、そのほうが自然なのかもしれません。