ほとんどの中小企業は、公開会社ではなく、譲渡制限会社にしておくほうがいいんです

公開会社と譲渡制限会社の違いとは…

公開会社とは

1株でも譲渡制限のない株式<つまり1株でも譲渡自由な株式>を発行すれば(発行する可能性があれば)公開会社

<つまり、譲渡が自由な種類の株式を現実に発行していなくても、その株式の内容に関する定款の規定があれば公開会社>

公開会社は取締役会必置
cf 大会社は会計監査人必置

公開会社は、議決権制限株式を発行済株式総数の2分の1以下にしなければならない。

譲渡制限会社とは

すべての株式について譲渡制限がある場合には譲渡制限会社
cf 公開会社は、ある種類の株式についてのみ譲渡制限の規定を設定することもできる。

登記事項 株式の譲渡制限に関する規定

公開会社と譲渡制限会社の違いをまとめると…

公開会社1株でも譲渡制限のない株式を発行すれば(発行する可能性があれば)公開会社
譲渡制限会社すべての株式について譲渡制限がある場合には譲渡制限会社

株式の譲渡制限

株式譲渡の承認機関

取締役会設置会社取締役会
取締役会非設置会社株主総会

※いずれの場合にも定款で別段の定めをすることができる。<つまり、株式譲渡の承認機関はどこでもいい>

株式譲渡制限規定の決議要件

議決権を行使できる株主の半数以上<アタマ数>
かつ
議決権を行使できる株主の議決権の3分の2以上<出席株主ではない>

<議決権を行使できる アタマ数と議決権>

※定款でさらに加重できる<株主にとって有利になるから>

株式会社の機関設計

株式会社に必ず必要な機関

  • 株主総会
  • 取締役

必ず置かなければならないのはこの2つのみ。<株主総会と取締役だけで株式会社を設立できるということ>

取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、指名委員会等、監査等委員会は、いずれも、定款でこれを置くと定めることができる。

取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、指名委員会等、監査等委員会を置くということそのものが登記事項<株主総会と取締役を置くということは登記事項ではない>

2層式(株主総会+取締役)

取締役(各自代表の原則<取締役会がない場合には代表取締役と取締役の地位が分化しない>⇒ただし、代表取締役を定めた場合にはこの限りではない)

株主総会

株主総会の権限が強い

3層式(株主総会+取締役会(+監査役)+代表取締役)

代表取締役

取締役会(+監査役<取締役を監視するため>)

株主総会

取締役<役員>

登記事項

  • 取締役の氏名
  • 代表取締役の住所・氏名

※指名委員会等設置会社では代表取締役の住所・氏名を登記しない。

取締役会

3人以上の取締役
取締役会において代表取締役を選定しなければいけない。

登記事項 取締役会設置会社である旨

監査役<役員>

取締役の職務執行監査
会計監査

※取締役会非設置会社の場合は監査役不要

登記事項

  • 監査役設置会社である旨
  • 監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社であるときは、その旨<中小会社のみ(大会社以外。大会社は会計監査人必置。つまり監査役も必置。)>
  • 監査役の氏名

監査役会

3人以上の監査役

登記事項

  • 監査役会設置会社である旨
  • 監査役のうち社外監査役である者について社外監査役である旨<監査役の半数以上は社外監査役(監査を強化するため)>

会計参与<役員>

取締役と共同して計算書類等を作成

公認会計士または税理士のみ

登記事項

  • 会計参与設置会社である旨
  • 会計参与の氏名または名称
  • 計算書類等を備え置く場所<会社の本店と異なる場所>

会計監査人<大会社>

大会社(最終事業年度のBSにおいて、資本金5億円以上または負債200億円以上)では必置機関<公開会社非公開会社は関係なく、大会社の場合には必置。会計監査人=大会社というイメージ>

<会計監査人設置会社は監査役設置義務あり。つまり、大会社は、原則として、監査役+会計監査人がセット)。この場合、会計監査限定監査役にはできない。つまり、大会社の監査役は会計監査限定監査役にはできない。>

公認会計士のみ

会社との委任関係

登記事項

  • 会計監査人設置会社である旨
  • 会計監査人の氏名または名称

指名委員会等

取締役会+指名委員会・報酬委員会・監査委員会(各委員<委員の半数以上が社外取締役(監視強化)>)+執行役と代表執行役+会計監査人

<取締役会と会計監査人を設置していない会社は指名委員会等を設置できない。つまり、指名委員会等設置会社には取締役会と会計監査人が必要<cf 監査等委員会設置会社も同じ>。執行役と代表執行役は指名委員会等設置会社のみ。>

指名委員会等設置会社では代表取締役<代表執行役>と監査役<監査委員会+会計監査人>が存在しない

指名委員会等設置会社でも取締役(取締役会)は存在するが、実際の経営は執行役が行う<会社の代表権は代表執行役。取締役は執行役を監督する。>

登記事項

  • 指名委員会等設置会社である旨
  • 取締役のうち、社外取締役あるものについては社外取締役である旨
  • 各委員会の委員の氏名
  • 執行役の氏名
  • 代表執行役の住所と氏名

監査等委員会

監査とは違法かどうか、監督とは妥当かどうか

取締役会+監査等委員会+会計監査人
cf<取締役会と会計監査人を設置していない会社は指名委員会等を設置できない。つまり、指名委員会等設置会社には取締役会と会計監査人が必要。取締役会+指名委員会・報酬委員会・監査委員会(各委員<委員の半数以上が社外取締役>)+執行役と代表執行役+会計監査人>

監査等委員会設置会社には代表取締役がいる<代表執行役や執行役はいない>

登記事項

  • 監査等委員会設置会社である旨
  • 監査等委員である取締役およびそれ以外の取締役の氏名
  • 取締役のうち、社外取締役あるものについては社外取締役である旨
  • 重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがあるときはその旨

社外取締役や社外監査役である旨の登記

社外取締役である旨の登記

  • 指名委員会等設置会社(各委員会の委員の半数以上は社外取締役)
  • 監査等委員会設置会社
  • 特別取締役による議決の定めがあるとき

社外監査役である旨の登記

監査役設置会社

なお、社外取締役や社外監査役の社外性を証する書面の添付は不要

株式会社の機関設計のまとめ

非公開会社(譲渡制限会社)の中小会社<大会社ではない場合>

取締役or
取締役会
監査役or
監査役会
委員会会計監査人会計参与
取締役なし監査役がいない場合には会計監査人もいない
<会計監査人は監査役or委員会とセット>
任意
取締役監査役任意任意
取締役会監査役任意任意
取締役会監査役会任意任意
取締役会指名委員会等
指名委員会等は取締役会と会計監査人とセット
会計監査人任意
取締役会監査等委員会
監査等委員会は取締役会と会計監査人とセット
会計監査人任意
取締役会なし監査役がいない場合には会計監査人もいない
<会計監査人は監査役or委員会とセット>
会計参与
(この場合、会計参与は必置)

譲渡制限会社の中小会社の場合には取締役(+株主総会)だけでOK。<つまり、譲渡制限会社の場合には取締役会は必置ではない>

委員会を設置する場合には取締役会と会計監査人が必要となる。

<譲渡制限会社の中小会社場合、取締役会+会計参与ができる>

非公開会社(譲渡制限会社)の大会社

取締役or
取締役会
監査役or
監査役会
委員会
大会社では監査役or委員会+会計監査人
会計監査人
<大会社では、監査役or委員会と会計監査人は必置>
会計参与
取締役監査役会計監査人任意
取締役会監査役会計監査人任意
取締役会監査役会会計監査人任意
取締役会指名委員会等会計監査人任意
取締役会監査等委員会会計監査人任意

大会社では会計監査人が必置<つまり、大会社は会計監査人+監査役or委員会が必置。なお、大会社とは資本金5億円以上or負債200億円以上。大会社は会計規模が大きいから会計監査人が必要だということ。>

公開会社の中小会社<大会社ではない場合>

取締役会
公開会社では取締役会が必置<監査役or委員会も必置になる。なお、委員会の場合には会計監査人もセット>
監査役or
監査役会
委員会会計監査人会計参与
取締役会監査役任意任意
取締役会監査役会任意任意
取締役会指名委員会等会計監査人任意
取締役会監査等委員会会計監査人任意

公開会社は取締役会が必置。<それに伴い、監査役or委員会(委員会の場合には会計監査人がセット)も必要となる。公開会社は所有と経営の分離の考えから取締役会が必要となるということ。>

CF大会社は会計監査人が必置。それに伴い、監査役or委員会も必要となる。<必置の機関とそれに伴ってセットで必要となる機関ということ>

公開会社の大会社

取締役会
公開会社では取締役会が必置<監査役or委員会も必置になる。なお、委員会の場合には会計監査人もセット>
監査役会
<公開会社の大会社の場合は監査役会。監査役ではダメ>
委員会
<大会社では監査役or委員会+会計監査人>
会計監査人
<大会社では会計監査人が必置。監査役or委員会+会計監査人は必置>
会計参与
取締役会監査役会会計監査人任意
取締役会指名委員会等会計監査人任意
取締役会監査等委員会会計監査人任意

公開会社の大会社<MAX>は取締役会+監査会or委員会+会計監査人。