もともとは、所有権を明確にするために焼き印が行われていたのかもしれませんが、しばらく経つと「〇〇さんのところの牛ならおいしくて衛生的にも信頼できる」というイメージができていったということは簡単に想像することができます。
「この焼き印がある牛はおいしくて衛生的にも安全なんだ」というイメージが定着して、その焼き印に価値が出てくるようになります。
逆に、何の特徴もなければ、焼き印を押して「区別」をすることはできるけど「差別化」はできず、その他、多くの中に「埋没」してしまいます。
つまり、ブランディングとは、区別することではなく、他のものと差別化することだと考えることができるでしょう。
士業やコンサルタントは、自分自身に焼き印を押してブランディングする
あなたは自分自身にどんな焼き印を押していますか?
例えば、自分のウリは「フットワークが軽い」みたいなことを言っている士業の先生がいらっしゃいますが、そんなことは「ウリ」にはなりません。
そんなことは焼き印にならないのです。
人生でも仕事でも「いい人」だけでは「どうでもいい人」で終わってしまうということはよくあることです。
気を付けなければいけません。
ブランディングとは、「〇〇〇〇といえば〇〇さん」という状態にすること
もしあなたが能力が高くないと思うなら、だからこそ、いくつかの分野に絞って、そこにすべてを集中するべきです
本来、同じ資格の士業や同じ業種の仕事であれば、能力的には大きな差はないはずです。
しかし、もしあなたが他の人よりも能力が高くないと感じているならば、だからこそ、専門分野をいくつかに絞って、そこにすべてを集中するべきです。
例えば、同じ行政書士の中で、他の行政書士の能力が80点で、あなたの能力が50点だとしましょう。
他の行政書士が仕事内容をほとんど絞っていない場合には、ひとつの分野の仕事に振り分けられる能力や時間は80分の5~10(ひとつの分野のウエートは8~16)という状態になってしまう可能性もあるでしょう。
でも、あなたが2つか3つの仕事に絞れば、50分の2~3(ひとつの分野のウエートは17~25)になり、能力が高くないはずなのに、その分野の仕事についてはあなたのほうが2倍以上の時間をかけたり能力を発揮したりすることができ、大きな成果を出すことができるはずです。
そして、仕事をすればするほと、その仕事の知識や経験も増えていって、どんどん差別化が進んでいくはずです。
だからこそ、もしあなたが他の人より能力が高くないと思うなら、専門分野をいくつかに絞って、そこにすべてを集中するべきなんです。
つまり、〇〇尖ることこそがブランディングの中心的な考え方だと言えるでしょう。
「尖る」から突き刺さる。だから、記憶に残る。
当然ながら、この状態では、相手の印象に残りません
そもそも印象に残るはずがないのです。
短い挨拶などの場合には、自分の専門を1つか2つに絞ってしっかり伝えたほうが印象に残りやすいことはいうまでもありません。
- 尖るから突き刺さる
- 突き刺さるから、記憶に残る
専門分野を絞るから、「〇〇〇〇といえば〇〇さん」ということが明確になりますし、早くブランディングできるということです。
ブランディングして「尖る」からこそ競合が少なくなる
上記の通り、初めて会う他士業の先生と名刺交換する際に、何の特徴もなく、ただ単に行政書士とか社会保険労務士だとしか挨拶ができなければ、その他の行政書士や社会保険労務士の中に埋没してしまいます。
つまり、知らず知らずのうちに、その他大勢の行政書士や社会保険労務士と競合してしまっているのと同じ状態にしてしまっているということです。
逆に、〇〇〇専門だということを明確に伝えると、その瞬間にその他大勢の行政書士や社会保険労務士は競合相手ではなくなります。
- 尖らないから競合が多い
- 尖るからこそ競合が少ない
このことは、本当に当たり前のことではあるのです。
そういう意味では、ブランディングとは、当たり前のことを当たり前のように行うことだと考えてもいいでしょう。
ブランディングすることは決して難しいことではありません
実務経験が少なくても誰でもブランディングすることが可能です
資格の種類はどうであれ、士業で開業した場合には、その資格で許される範囲の仕事であれば何でもできますので、何を専門にすればいいのかがわからないことが多いでしょう。
しかも、まだ開業したばかりの頃は、専門と言えるほど仕事の依頼がないということもあるでしょう。
でも、だからこそ、〇〇〇専門と言ってブランディングしやすいんです。
誰かに強制されることなく、自分で自分の専門分野を決めることができる。
こんな幸せなことはありません。
そもそも、「卵が先か、鶏が先か」は重要ではありません
誤解があると良くありませんが、「卵が先か、鶏が先か」ということは、それほど重要ではありません。
というのも、そもそも士業の試験に合格すれば、その資格で行うことができる仕事はすべて行うことができますので、〇〇〇専門だといってもまったく問題はありません。
しかも、経験がないから〇〇〇専門といってはいけないのであれば、そもそも、試験に合格しても実務経験がない仕事や完璧に近い知識がなければその仕事をしてはいけないということになります。
でも、実際にはそうではないはずです。
だからこそ、「卵が先か、鶏が先か」というようなことはまったく重要ではありません。
現時点でできることではなく、将来的に自分が理想とする専門分野や顧客層をターゲットにする
すでに経験がある分野でブランディングするのであれば、その時点でかなり大きなアドバンテージがありますので、その仕事の内容や顧客層が自分の理想と一致しているのであれば、そのままブランディングをしていくといいでしょう。
経験がほとんどない場合や今の仕事内容や顧客層を変えていきたいとお考えの場合でもまったく心配ありません
むしろ、それがブランディングだと考えるほうが正しいのかもしれません。
だから、士業やコンサルタントも、今の自分ができることではなく、自分が理想とする専門分野や顧客層をターゲットにしてまったく問題はありませんし、今の仕事内容や顧客層を変えたい場合には、むしろ、理想とする方向に進むべきなんです。
「どんな士業やコンサルタントになるのか」「どんな仕事をしたいのか」という方向性をしっかり決めて、その方向に向かって歩き出しましょう。
それがブランディングの第1歩となります。
ブランディングすると、自分に対しても顧客に対しても責任が出るからさらにブランディングが加速します
もちろん専門だからといってすべてのことを知っているはずがありませんが、〇〇〇専門だと言っているのに〇〇〇のことをほとんど知らないということは避けなければいけません。
つまり、〇〇〇専門といってブランディングすると、当然ながら、そのことについて自分自身のプライドや顧客の信頼に対する責任が発生します。
簡単にいうと、〇〇〇専門といってほとんど何も知らないのはカッコ悪いということです。
だから、ブランディングするとがんばるしかなくなるんです。
その結果、さらにブランディングが加速するという好循環になっていきます。
〇〇〇専門だからといって他の仕事ができないわけではありません
仕事の仕組みというものは、どの分野の仕事でも、多かれ少なかれ、ある程度の共通点があります。
それが好循環になって、専門分野のブランディングも加速していきます。そして、仕事が増えて、従業員が増えれば、それがブランディングにもなります。
最初はいくつかの分野に絞って尖っていたはずなのに、専門分野が明確にありながらも、顧客ニーズに従い、いろんな仕事を幅広くこなせるようになっていくこともよくあることです。
でも、それは、最初にブランディングを行ったからだということは言うまでもありません。
自分自身のプライドと顧客の信頼に対する責任を果たすために日々精進する
ブランディングするとがんばるしかなくなる
〇〇〇専門だとブランディングの第一歩を踏み出すのは簡単です。
でも、〇〇〇専門だといって、その仕事のご依頼をお受けした以上は、絶対に約束通りにやり遂げなければいけません。
自分自身のプライドと顧客の信頼に対する責任を果たさなければならないのです。
だからこそ、毎日、勉強することが必要ですし、セミナーに参加したり師匠から教わったりすることも必要です。
これができないのであれば、そもそもブランディングをしてはいけないですし、そもそも士業やコンサルタントとして開業すべきではないのかもしれません。
不安があるならサポート体制や協力体制を整えておくべき
極論すれば、〇〇〇専門だといえばいいだけですので、実務経験がなくてもブランディングすることができます。
でも、実際に、仕事をお受けした以上、それにともなう責任が発生してしまいますので、仕事をこなしていくことは決して簡単なことではありません。
もちろん、自分で追求しなければならないところは自分で追求していくことが必要です。
ただ、自分だけでは限界があるのも事実ですので、同業の先輩や同期の中から信頼できる仲間や師匠を見つけてサポートしてもらえるようにしておくことが非常に大切です。
そのためには、あなた自身の人間力を養うことも非常に大切です。
一瞬で目的地に行けるような魔法はありません
繩鋸に木断ち、水滴石を穿つ。道を学ぶ者、須らく力索を加う。水到に渠成り、瓜熟蔕を落つ。道を得る者、一に天機に任す。
これは、中国の古典「菜根譚」にある言葉です。
縄のノコギリが木を切り、水滴が石を穿つように、道を志す者もたゆまず励むことが大切です
ブランディングには時間がかかります。
本当に、縄で木を切るようなものかもしれません。
でも、水滴が長い年月をかけて石を穿つことがあるのも事実です。
手応えの少ないことでも、長い年月をかけて続けることが大切です。
そして、長い年月がかかるからこそ、ブランディングの過程を楽しむくらいの気持ちでいることが大切です。
水が流れ出せば自然に溝ができるし、瓜が熟すと自然にへたが落ちるのと同じように、道を会得しようとする者は自然のはたらきに身をゆだねるべきなんです
自然に任せておけば、時期が来れば自然に事が成就しているということです。
だから、焦る必要はありません。
沸きだす水があれば、その水は自然に流れ出し、そこに溝ができ、それが河となります。
水を沸き出させるのも、流れる方向も決めるのも、すべてあなた自身なのです。
このことをビジネスではブランディングといいます。
学びて時に之を習う、亦説ばしからずや。朋有り遠方より来る、亦楽しからずや。
これは、中国の古典「論語」にある言葉です。
学んだことを何度も繰り返し実践すれば、事がうまく運ぶことになる
- 「習う」とは、何度も繰り返すこと
- 「説」は「悦」と同じ意味であり、「悦」とは、事がうまく運び、満足して喜ぶこと
つまり、セミナーや師匠から学んだことを実践してアウトプットを繰り返して、自分のモノにすることによって、あなたが理想としていることがうまく行くということです。
これはまさにブランディングと同じです。
名刺やホームページに〇〇〇専門と記載したり、書籍やセミナーで勉強したりしているだけではなく、学んだことをしっかりアウトプットしなければブランディングはできません。
遠くからでもたずねてくれる仲間がいることは嬉しい
たった1人で事をなすことは簡単ではありません。
そういう時に支えになってくれるような仲間がいるからこそ、あなたが理想としていることがうまく行くということです。
だからこそ、不安があるなら、遠方でもいいのでサポート体制や協力体制を整えておくべきなんです。