経営者必見!試用期間に社員をクビ(解雇)するには?社会保険労務士がご説明いたします

試用期間に社員をクビ(解雇)することはできます

試用期間とは…

試用期間とは、会社が新たに社員を採用する際に、社員としての適性(勤務態度や能力など)を評価するために用いられており、会社が社員の適性を見極めるための「解雇する権利が留保されている労働契約がされている期間」であると考えられています。

つまり、会社が試用期間を設定することは何ら問題はありませんので、就業規則や労働契約書(雇用契約書)に、試用期間を明記するようにしましょう。

試用期間とは…
雇用契約の締結と同時に会社とその社員との間で雇用の効力が確定するけれど、試用期間中は、会社はその雇用契約についての解約権を留保しており、その社員が不適格であると判断した場合は、会社は、雇用契約の解約権を行使して、雇用契約を解約することができるということです。
つまり、試用期間中は、本採用後に比べて、会社は社員をクビ(解雇)しやすいということが言えると思われます。

でも、実は、正当な理由がない限り、試用期間中でも簡単にクビ(解雇)することはできません

上記の通り、試用期間中は、本採用後に比べて、会社は社員をクビ(解雇)しやすいということが言えると思われます。

しかし、試用期間中のクビ(解雇)について、判例では「その社員が他の会社への就職機会を放棄していることなどを考えると、解約権の行使は、解約権留保の趣旨や目的に照らして客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められるような場合にのみ許される」とされています。

試用期間中のクビ(解雇)の相当性が認められた事由として以下のようなものがあります

[参考]試用期間中の解雇の相当性が認められた事例
  • 勤務態度が悪く、繰り返し指導しても改善されない
  • 正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返し、指導しても改善されない
  • 協調性を欠く言動や行動があり、社員として不適格である
  • 本人の履歴に重大な虚偽の事実があったことが発覚した

実は、勤務態度が悪い場合や正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返す場合でもすぐにクビ(解雇)することができません

特に、試用期間中は、社員に対して指導や教育を行うことが必要ですので、勤務態度が悪い場合や正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返す場合でもすぐにクビ(解雇)することができません。

適切な指導を行って、改善の機会を与えたうえで、それでも改善されない場合でなければクビ(解雇)することができないとお考えいただくといいでしょう。

試用開始から14日以内にクビ(解雇)する場合

試用開始から14日以内にクビ(解雇)する場合は、解雇予告手当を支払うことも解雇予告をすることもなく解雇することが可能です。

注意
試用開始から14日以内に解雇する場合でも、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる場合でなければ解雇を行うことはできません。

試用開始から14日を過ぎてクビ(解雇)する場合

試用期間中であっても、試用開始から14日を過ぎてクビ(解雇)する場合は、少なくとも30日前に解雇予告又は解雇予告手当の支払いが必要です。

もちろん、この場合でも、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる場合でなければクビ(解雇)できないことに注意が必要です。

試用期間終了後に本採用を拒否する場合

本採用の拒否は、法的には、労働契約の解約(つまり、解雇)に該当しますので、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる場合でなければ本採用を拒否することはできません。

ただ、試用期間は、解雇する権利が留保されている労働契約がされている期間ですので、試用期間終了後の本採用拒否は、試用期間中のクビ(解雇)に比べて少しハードルが低いと考えられています。

もちろん、試用開始から14日を過ぎている場合は、少なくとも30日前に解雇予告又は解雇予告手当の支払いが必要です。

[まとめ]試用期間中のクビ(解雇)について

MEMO
  • 試用期間とは、会社が社員の適性を見極めるための「解雇する権利が留保されている労働契約がされている期間」であると考えられている。
  • だから、本採用後に比べて、会社は社員をクビ(解雇)しやすいということが言える。
  • でも、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められるような場合でなければクビ(解雇)することができない。
  • また、勤務態度が悪い場合や正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返す場合でも、適切な指導を行って、改善の機会を与えたうえで、それでも改善されない場合でなければクビ(解雇)することができない。
  • 試用開始から14日を過ぎてクビ(解雇)する場合は、通常の解雇と同様の手続き(少なくとも30日前に解雇予告又は解雇予告手当の支払い)が必要です。
  • 本採用の拒否は、解雇に該当するので、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と認められる場合でなければ本採用を拒否することはできない。また、試用開始から14日を過ぎている場合は、少なくとも30日前に解雇予告又は解雇予告手当の支払いが必要です。

試用期間とクビ(解雇)の難易度

試用期間終了後の本採用拒否<試用期間中の解雇≦本採用後の解雇

ちなみに、試用期間の長さはどれくらいがいい?

試用期間の長さは、労働基準法などに明確な定めはありませんが、会社によって、1か月から3か月程度が多いと思われます。

なお、1年を超える試用期間(試用期間の延長を含む)が設定されている場合には、違法とされる可能性が高くなりますので注意が必要です。

試用期間を延長することはできる?

次の要件をすべてクリアしている場合には試用期間の延長は認められます。なお、会社の都合で試用期間を延長できるわけではありませんので注意が必要です。

試用期間延長の要件
  • 試用期間を延長する場合があることについて就業規則や労働契約書(雇用契約書)に記載されている
  • 試用期間の延長について合理性がある
  • 試用期間の延長期間は当初の期間を含め1年以内である

これらの要件がクリアされている場合には試用期間を延長することが可能ですが、後々のトラブルを避けるために、本人に対して説明をしたうえで延長することが大切だと思われます。

最後に…

お願い

当事務所(社会保険労務士)としては、試用期間中の解雇をおすすめしているわけではなく、経営者と社員との間のトラブルをできるだけ避けていただきたいと考えておりますので、その点は誤解なさらないようお願いいたします。