傷病手当金の支給条件
業務外の病気やケガの療養のため会社を休んでいること
自宅療養の期間についても支給対象となります。
なお、業務上または通勤災害による病気やケガは労災保険の給付対象となりますので、傷病手当金の支給対象とはなりません。
労務不能の状態にあること
労務不能とは、今まで従事していた業務ができない状態のことで、労務不能であるかどうかは、医師の意見や業務内容などを考慮して判断されます。
なお、傷病手当金の支給申請書には、事業主(会社)と療養担当者(お医者さん)に記入してもらうところがありますので、これらを総合的に判断して、労務不能であるかどうかが判断されます。
3日間連続で会社を休んだこと
傷病手当金は、業務外の事由による病気やケガの療養のために連続3日間(待期)会社を休んだ後、4日目以降の会社を休んだ日に対して支給されます。
「全国健康保険協会のHPから画像引用」
- 待期には有給休暇や土日・祝日等も含まれます。
- 給与の支払いがあったかどうかは関係ありません。
- 就労時間中に業務外の事由で発生した病気やケガについて仕事に就くことができない状態となった場合にはその日を待期の初日として計算します。
傷病手当金の金額と支給期間
傷病手当金の金額は1日の金額の3分の2です
なお、傷病手当金の支給開始日以前の期間が12ヵ月に未満の場合は…
- 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
- 28万円(当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額)
傷病手当金が支給される期間は、最長で支給開始日から1年6ヵ月です
1年6ヵ月分の傷病手当金が支給されるということではなく、あくまでも、期間として、最長で支給開始日から1年6ヵ月間ですので、傷病手当金の支給期間中に会社に行った期間がある場合でも支給期間が延長されることはありません。
「全国健康保険協会のHPから画像引用」
休職期間中の社会保険料
会社を休んでいる場合でも社会保険料はかかります
会社を休んでいて、会社から給料をもらっていない場合でも、休職前と同じように、毎月、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)がかかります。
なお、休職中の社会保険料や税金の支払いについては以下の通りです。
- 健康保険:休職前と同じ金額がかかります
- 厚生年金:休職前と同じ金額がかかります
- 雇用保険:かかりません
- 労災保険:かかりません(そもそも全額会社負担)
- 所得税:かかりません
- 住民税:かかります(前年の収入に対して課税)
休職中でも社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)や住民税を合わせるとかなりの金額になります。
そういう意味でも、傷病手当金をもらうようにしておく必要があるでしょう。
資格喪失後の継続給付(傷病手当金をもらっている間に会社を退職した場合)
傷病手当金をもらっている間に会社を退職した場合にはその後も傷病手当金をもらうことができます
次の2つの要件を満たす場合には、退職後も残りの期間について傷病手当金をもらうことができます。
- 会社を退職した日(被保険者の資格喪失をした日の前日)までに継続して1年以上健康保険をかけている期間(被保険者期間 (健康保険任意継続の被保険者期間を除く))があること
- 資格喪失時に傷病手当金をもらっているか、または、傷病手当金をもらう条件を満たしていること
「全国健康保険協会のHPから画像引用」
- 退職日に出勤したときは退職日の翌日以降の傷病手当金がもらえなくなります。
- 資格喪失後の継続給付は断続して受けることができません。
傷病手当金の支給停止(支給調整)と時効
次の場合には傷病手当金が支給停止または支給調整されます
- 傷病手当金と出産手当金がもらえる場合
- 会社を退職した後も傷病手当金をもらっている場合に、老齢年金をもらうようになった場合
- 障害厚生年金または障害手当金をもらえる場合
- 労災保険の休業補償給付をもらえる場合
傷病手当金は2年で時効になります
なお、時効は、傷病手当金がもらえる1日ごとに進んでいきます。
ざっくりしたイメージで考えると、傷病手当金は、会社を休んだ日、1日ごとに発生して、2年後、その1日ごとに時効で消滅していくというイメージになります。
2年という時効の「枠」が1日ごとにずれていくイメージと考えてもいいかもしれません。
傷病手当金の申請方法
全国健康保険協会の各都道府県支部に申請書を提出するか郵送して、傷病手当金の支給を申請します
下記の健康保険傷病手当金支給申請書や記入例をご覧いただくとわかるのですが、申請書には、会社とお医者さんに記入してもらうところがあります。
例えば、4月1日から4月30日まで会社を休んでいて、その間の傷病手当金の支給申請をする場合には、5月1日以降に、会社で「会社を休んでいたこと」と「その間の給料が支払われていないこと」、病院(傷病手当金意見書交付料300円)で「療養のための労務不能であること」を記載してもらいます。
そして、全国健康保険協会の各都道府県支部に申請書を提出するか郵送して、傷病手当金の支給を申請します。
傷病手当金は1か月ごとに請求することがおすすめです
上記の通り、傷病手当金は1日ごとに2年間で時効によって消えてしまいます。
また、会社から給料がもらえなくなっている場合には、経済的にも生活に支障が出ることが多いですので、1か月ごとに傷病手当金を請求なさるケースが多いと思われます。